ベーからの手紙      

No.165  2015年8月27日

 
  元気ですか?
   
  今年の夏は、とても暑い日が続きましたね。
  それなのに、今度は突然気温が下がって雨続き。
  この夏、サマーカットを2度したバナ子は、寒そうに体を
  丸めています。

                                
お盆休み、うちの家族は1泊で蔵王でのんびりと過ごしました。
蔵王は、「山が噴火するかもしれない」と警報が出たので、泊まりに来るのを
やめる人たちが今もいるそうです。
ホテルでは、いつも以上にいろいろなサービスをしてくれ、家族は大満足の
様子でした。
だけど、外の駐車場でひとりぼっちのバナ子は災難でした。
なぜって、2日間とも雨だったから。
しかも、時々はすごいどしゃ降りになりました。

寒い季節なら車の中で落ち着いて寝ることができるんだけど、気温が下がった
とは言え、まだ夏本番。
雨で蒸すと、車の中の温度は意外と高くなるから熱中症が心配です。
だから、車の横に折り畳みのゲージを広げました。
夜になって気温が下がるまで、バナ子はここで過ごします。
このゲージは、僕が元気だった時から使っているものです。
我が家に来たばかりの頃のヨハンは、店に慣れるまで日中はこの中で
過ごしていました。

さて、ゲージにシートをかけて、すっかりくるんでしまうと蒸れるだろうから
下の方を開けておいて・・・よし、完了。
今は小雨だから、これできっと大丈夫。
さぁ、バナ子、中にお入り。

顔をこわばらせたバナ子は、とぼけてスーッと右へ歩いて行きました。
ふ〜む、いやがってるな。
家族に連れ戻され、もう1度声をかけられます。
 「バナ、ハウス! この中!」
おやおや、今度は、バナ子は左へトトトッと逃げます。
でも、結局はお尻をたたかれて、いやいやながらゲージの中へ。
そして、泣きそうな顔で、建物の中に消えていく家族を見送っていました。

このホテルのすぐ後ろを川が流れています。
部屋の窓から見下ろすと3段の堰があり、滝のようにゴーゴー、ザーザーと
強い水の流れの音が響いてきます。
ゴーッ、ザーッ、絶え間ない川の流れ。
ザザーッ、ザーッ!
ん? あれ? 川の音だけじゃないような気がする。
あ! 雨が強くなってるんだ。
大変だ。ゲージの中のバナ子が!

家族は駐車場へ急ぎました。
あぁ、まるで捨てて行かれた可哀想な犬のような、濡れたバナ子がそこにいます。
 「バナ、ごめんね。 車に入ろう。
  だいぶ気温が下がったから、もう中でも大丈夫でしょう。」
やれやれ、ずぶ濡れになる前でよかった。 ひと安心。
バナ子は、次の日の朝の散歩の時間まで、車の中でぐっすりと眠りました。

「よかった」とは言うものの、でも、ちょっと待てよ。
よく考えてみると、1代目のベート―ベンと2代目のべー、つまり僕、そして
その次のヨハンと比べると、バナ子はかなり甘やかされている気がするなぁ。
だって、僕らは、外へ出かけた時はゲージの中で夜を過ごすのが当たり前
だったんですよ。
「いやだ」なんて、わがままは許されなかった。
いやがるすきさえなかった。
それなのに、バナ子には「ゲージでごめんね。」だって?

う〜ん、考え出すとますます納得がいかないけど・・・、
まぁ、しょうがないかな。
なにしろ、相手はバナ子だからね。


                                今日はここまで、またね。
                                     
Beethoven


1代目のベート―ベン(真ん中)と仲間たち

ペンション前の2代目のベート―ベン

3代目のヨハンまでは、外の犬舎で過ごしました

慣れぬゲージの中の4代目のバナ子
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