ベーからの手紙      

No.164   2015年5月27日

 すっかりご無沙汰してしまいました。元気ですか?
 
 うちの家族は、時間が経つにつれて、昔のように
 いつでも、どこへ行くのも一緒、というわけには
 いかなくなってきました。
 あゆちゃんも、ひろちゃんも、それぞれ自分の道を
 歩き始めているからです。


2人が家を離れてしまい、にぎやかな暮らしと、あゆちゃんとひろちゃんのことが
大好きなバナ子は、寂しい思いをしているようです。
夜、家の外で物音がすると、「もしかすると帰って来たんじゃないか?」という
期待で、じっと耳をすませています。
バナ子も、もう8才半。
あとどのくらい、家族と一緒に過ごせるんだろう。

1年前の、夏の暑さが来る前、たしか今頃の季節だったと思います。

店の2階にいたバナ子の様子がおかしくなったことがありました。
自分から勝手に階段を下りてくることなんてこれまで1度もなかったのに、
突然下に降りてきて、切なげな表情で外に出たいと訴えます。
でも、外へ出てみても、おしっこをするわけではありません。
水を飲んでも、様子に変わりはありません。
次第にハァハァと息遣いが激しくなり、つらそうになってきました。
その様子が、以前の胃捻転の時の症状と似ていたので、
1人で店にいたママは気がすっかり動転。
訓練所に救援を頼んで、急いで動物病院に駆けこみました。
念のためレントゲンを撮っても、異常はなし。
 「手術で胃は固定してあるから、また引っくり返るということはないと
  思いますよ。」
どうやら、熱中症の症状だったみたいです。

そして、今年の5月の連休の最後の日。
急に、バナ子の具合が悪くなってしまいました。
夜、苦しげに何度も胃液を吐き、何度も下痢をします。
また、熱中症?

8才半という年齢は、僕達セント・バーナードにとっては既に高齢です。
手遅れになってしまっては遅いので、次の日、パパがバナ子を病院に
連れて行きました。

 「これは熱中症ではありません。季節の変わり目などにかかりやすい
  嘔吐・下痢症です。 今日は、この病気で血を吐いたり、血便を
  したりで17頭が来てますよ。」

嘔吐・下痢症という病名ではたいしたことがないような気がしてしまうけど、
バナ子も、大量の水のような血便を繰り返しました。
ぐったりと目をつむり、ピクリとも動かず、それこそ死んだように
眠り続けます。

絶水絶食、2時間の点滴と注射を4日間。
その後、3日間は注射を3本。
 「1週間ずっと点滴の子もいるから、回復が早い方ですよ。」

これまでにもいろんな病気をしてきたバナ子だけれど、そう、回復力は
たいしたものなんです。
「お腹が空いた。食べたい!」という気力が起こるとむくむくと元気に
なり、猛烈な食欲をみせます。

だけど、そうは言っても、これからは十分に用心しないと。
元気そうに見えても、大病をいくつもをくぐり抜けてきた体。
そして、かわいく見えるからだまされそうになるけど、実は、バナ子は
もう“おばあちゃん”なんだから。

今年も、暑さ対策のために全身のサマーカットが完了。
長生きしなくちゃね、バナ子。

                                今日はここまで、またね。
                                     
Beethove









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