ベーからの手紙      

No.163  2014年5月19日

 元気ですか?
 5月、花や緑が美しい季節になりましたね。
 バナ子は、蓄膿症で子宮を摘出してから太りやすくは
 なりましたが、それ以外はとても元気です。
 ひろちゃんも東京から戻ってきたことだし、連休は
 家族そろって山へ出かけることにしました。


 「遊びに来ませんか?」と誘ってくれたのは、岩手県一関市でセント・バーナードの
ルイ君と暮らしているご家族。
そして、同じ一関の広々とした自然の中では、セント・バーナードのデコちゃんが
家族と暮らしています。
ルイ君の先代のセント・バーナードは、動物病院で狂犬病の予防接種を受けてすぐ、
体調が急変して天国へ旅立ってしまったそうです。
1代目のデコちゃんは、豪雨で家の裏山が崩れそうになり、夜、家族が総出で外へ
出ている時に悲しげな声で鳴き続け、そして、息を引き取っていたそうです。
それぞれの家族の悲しい思いを断ち切るためにやってきたルイと2代目のデコ。
2頭とも、バナ子と血筋が同じです。

僕たちはみな、運命の出逢いをしていますが、この2つの家族の出逢いも
不思議なものでした。
ある日、ルイ君の家族が車を走らせていると、前を走る車の中に「何か」が
見えたそうです。
 「お父さん! あの車にセント・バーナードが乗ってる!」 「え?!」
  「追って!」 「わかった!」
どんどん先へ進む前の車。 それを追跡し続けるルイ家の車。

何度か一関に遊びに行ってうちの家族もだんだんわかってきたようですが、
岩手県はとても広いところ。
「すぐそこだから」と言われて車を走らせてみると、距離感が全然違うのです。
「すぐそこ」は、車で20〜30分ぐらい走った先にあります。
この時の追跡劇も、山道を結構走ったはずです。
着いたところは、広々とした山の中に1軒だけ建つ家。
前の車を運転していた男の人が、不審そうな表情で声をかけてきました。
 「何か、御用ですか?」
そりゃそうですよ。 他に家もない山道を、見知らぬ車にあとをつけられたら
誰だって変だと思いますよね。
 「セント・バーナード、乗ってますよね?
   うちもいるんです、セント・バーナードが。」
 「ほんとですか!?」
こうして、2つの家族のお付き合いが始まったのです。

デコちゃんが暮らすところは、セント・バーナードにとって夢のような自然が
広がっています。
山々に囲まれて緑の風が吹き、広々とした敷地が広がり、たくさんの花が
咲き乱れています。
ここを、デコちゃんは縄張りとしてひとり占め。さぞかし、毎日のびのびと自由に
走り回っているんだろうなと思いきや・・・。
 「だめなんです。 うちのデコちゃん、散歩きらいなんです。」
え? 
 「わたしが一生懸命、デコ、散歩に行くよ、って声をかけても、いやがって
  歩かないんです。すぐに座りこんじゃって。
  だから、車に乗せて真湯(しんゆ)の方まで行くんです。
  そこだと歩きますから。」
・・・・・・・・。
「真湯」は、栗駒という山のふもと、「すぐそこ」どころではない、離れたところに
ある高原です。
なんですか、つまり、広大な自分の縄張りはあくまでも縄張りであって、散歩をする
ための場所ではない。他の所へ連れてってくれなきゃわたしは歩かないよ、と。
まぁ、僕らはみんなそれぞれ個性的ではあるけれど、君は相当の変わり者だと
思うな、デコちゃん。

連休は、3つの家族で栗駒山のふもと、まだ雪が少し残る真湯の高原へ
ピクニックへ出かけました。
バナ子は、あゆちゃんとひろちゃんが一緒だからご機嫌です。
2人を追いかけて駆け回り、山を歩き、疲れてぐっすりと眠りました。


                                今日はここまで、またね。
                                     
Beethoven


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