ベーからの手紙      

No.158  2012年8月19日

 元気ですか?
 
 毎日毎日、暑いですね。
 僕とヨハンにとっては、家族に別れを告げた夏。
 思い出すのがちょっとつらい季節です。
 だけど、5才半のバナ子はまだまだ元気いっぱい。
 今年の夏休みも、思いきり山を駆け回ってきました。


岩手県の一関市というところに、セント・バーナードの仲間が2頭います。
2頭とも、僕達と同じ仙台の訓練所の卒業生。
そして、バナ子とは血筋が同じ。まぁ、親戚ってとこですね。
夏休み、うちの家族はこの2頭を訪ねることにしました。

1頭は、バナ子よりも年下だけれど、体はずっと大きな男の子、ルイ。
僕が元気に走り回っていた頃の体重は75キロ、だいたい僕と同じ
くらいの大きさかな。
ルイと並んで立つと、バナ子はまるで小さな子ども。
オスとメスでは、骨格も、顔の大きさも全然違います。
スイカが大好きなバナ子、ルイの家で夏のおやつをごちそうになりました。
足が短くて背が低いバナ子は、精一杯背伸びをしてテーブルに顔を
近づけ、ひろちゃんの手から少しずつスイカを分けてもらいます。
あぁ、おいしそうだなぁ。僕も、川遊びをした時によく食べたっけ。
お? 床で寝そべっていたルイがのっそりと立ち上がったぞ。
そして、バナ子の隣に立つ。ルイの大きな顔は、余裕でテーブルの上に
現れます。楽々と、ひろちゃんの手からスイカをパクッ。
バナ子はなんとか自分も食べようとするけれど、相手ははるかに大きい。
押しのけてひろちゃんに近づくのは無理ですね。
とうとう、べそかき顔でうなだれてしまいました。
バナ子、君は体が小さいから幼く見えるけど、本当はルイよりもずっと
年上のお姉さん。ここは、我慢するしかないよ。

さて、もう1頭の仲間は女の子、デコという名前です。
牧草地に囲まれたうらやましい暮らしをしている今のデコは2代目、
1代目のデコと僕は会ったことがあります。
だから、ずっと古いおつきあいの仲なんです。

夏休みのこの旅行は、うちの家族の友人も一緒でした。
昔、セント・バーナードと暮らしていたこの女の人は、バナ子をとても
可愛がってくれているんです。
初対面の、デコの家族とこのひとが話をしています。
 「ずっと前に、セント・バーナードがいると聞いて、バスに乗って
  訪ねに行ったことがあるんですよ。」
   『そのあたり、私、愛犬と一緒によく散歩してました。』
 「セント・バーナードを連れた女の人が見えて、話しかけたんです。
  突然声をかけたりして怪しまれるかと思って、前のデコの写真を
  見てもらったんです。」
   『・・・・!? あの、ずいぶん前のことですよね?
    それ、わたしだと思います。』

なんと! 初対面だと思っていた2人が、昔、偶然出会っていたなんて。
この不思議な縁は、僕達セント・バーナードの力ですね、きっと。

夏休みのもう1つの楽しみは、蔵王の高原。
スキー場の近くに車を停めて、花が咲き乱れる急な斜面を家族そろって
登って行きます。
バナ子は、ひたすらひろちゃんの後を追いかけ、遅れまいと懸命です。
強い雨が降った跡でしょうか。ところどころで土がえぐれて崩れています。
ほら、そこにも大きなすきまが。 バナ子は跳べるかな?
すきまをのぞきこんで、ちょっとためらっています。
 「バナ、跳べ!」
ひろちゃんのかけ声に、バナ子は思いきってジャンプ!
ああっと! 後ろ足がはずれてしまった。
必死に前足で地面にしがみつき、後ろ足でもがきます。
がんばれ、登れる、あきらめるな、バナ子。
・・・よーし、上がった!

すっかりたくましくなったバナ子は、どんどん山を登って行きます。
間違いなく、うちの家族です。

                            今年はここまで、またね。 
                                 Beethoven

バナ子、楽しいなぁ。

それ〜っ! 速いだろ、バナ子?

おいしいなぁ、バナ子。

バナ子〜、遅れるな〜。
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