No.153 2011年11月15日
元気ですか?
あゆちゃんがイタリアへ旅立って1ヶ月、ひろちゃんが
東京で生活するようになって7ヶ月、あの恐ろしい地震
からは8ヶ月が経ちました。
そろそろ、仙台は寒くなり出しました。
セント・バーナードなのに寒がりのバナ子にはつらい
季節がやってきます。
パパとママとだけの静かな生活が続く中、ひろちゃんが仙台へ帰って
くるとバナ子は表情がガラッと変わります。
うれしくて、うれしくて、体全体がパーン!とはじけてしまいそうです。
ひろちゃんの後をついて回り、ひろちゃんの膝枕でうとうとと眠ります。
西公園では並んで全速力ダーシュッ!そのままふわふわ空へ
舞い上がっていきそうです。
そして、ひろちゃんが東京のアパートへ戻ってしまうと、がっくりと力尽きた
みたいに目を閉じます。人間ならば、大きなため息を繰り返しついている
ような感じです。いつものことです。
いつもそうなんだけど・・・、でも、今回はちょっとおかしい。
夕方の西公園で、もしかしたらあゆちゃんかひろちゃんがやって来るかも
しれないと、さびしそうに遠くを見つめているのはいつもと同じ。
朝、車に乗りこむ前のバナ子の大好きな遊び、大きなコーヒーの麻袋での
引っ張りっこは・・・え? やりたくない?
食事は・・・全然食べないって? おやおや、食器を前に後ずさり
しちゃってるじゃないか。
う〜ん、これはちょっと様子が変だなぁ。いくらなんでもここまで元気が
なくなるなんて。 いったい、どうしたんだろう?
お! あべお兄ちゃんが店にやって来ました。僕の親友だった人です。
お兄ちゃんとママが、バナ子の様子を見に行ってます。
朝から突然びっこをひくようになったバナ子は、階段がある店ではなく
今日は車の中で寝てるんです。
いつもなら大好きなお兄ちゃんの声をひと声聞きつけただけでパッと
立ち上がるのに、お腹をなでてもらうために、寝そべったままそろ〜っと
足を持ち上げるだけ。
バナ子のお腹が丸見えになりました。・・・白い。
ママが手を当ててみると、ひんやりしています。
元気な時は、いつもお腹はピンク色でぽかぽかとあったかいのに。
耳の中も白くて・・・冷たい。 これは、まずい。
ママの頭には、リンパ腫で4才で逝ってしまって1代目のベートーベンの
姿がすぐに浮かんだそうです。あの時も、お腹が白かった、と。
パパは、骨肉腫で前足を切断した、ヨハンの友達だった犬を思い
起こしたそうです。
もしかしたら、バナ子はガン、なんだろうか。
パパとお兄ちゃんは、すぐに病院に連れて行きました。
子犬の時に死にかけた経験があるバナ子は、もともと体が弱いの
かもしれません。
どうしよう、どうしよう。イタリアのあゆちゃんになんて知らせたらいい?
前回の留学の最中にヨハンが天国へ旅立ってしまって、あゆちゃんは
号泣したんですよ。
東京で1人で暮らすひろちゃんになんて言ったらいい?
バナ子にもしものことがあったら、「大学をやめる」と言い出しちゃうかも
しれません。
レントゲン写真を見る動物病院の院長先生に、パパは恐る恐る
切り出しました。 「骨肉腫、ではありませんか?」
先生は、いとも簡単にこう答えました。
「違いますよ。 変形性骨関節症です。左ひじですね。
2週間は安静にして下さい。それからリハビリしましょう。」
この日は、注射を打って帰ってきました。
歩くのは、そろりそろりとおしっこをする時だけ。
2週間、散歩はお休みです。
あゆちゃんとひろちゃんがいないと、一緒に思い切り走ることはなくなって
いたバナ子。ひろちゃんが帰ってきた時に、うれしさのあまり突然
駆け回ったから、もしかしたら足の関節がびっくりして悲鳴を上げたの
かもしれません。
それと、1人っ子になったバナ子に、パパとママが「やってはいけない」と
わかってるくせに2人で交互におやつを食べさせるから、この頃少し
太り気味なんですよ。
ほら、書いてあるでしょ、病気の説明に。「変形性骨関節症は肥満傾向の
犬に多い」って。甘やかしには気をつけなくちゃ、バナ子のために。
バナ子のお見舞いに届いた牛肉の塊も、少しずつだからね。
今日はここまで、またね。
Beethoven |