No.152 2011年10月2日
元気ですか?
すっかり涼しくなりましたね。
土曜日にバナ子の散歩で久しぶりに国際センターに
足を伸ばしたら、イチョウの木に緑色の実が鈴なりに
なっていたそうです。
東北は、もうすぐ駆け足で冬がやってきます。
9月30日、あゆちゃんは大きな重いスーツケースを2つ引っ張り、
パソコンが入ったバッグを肩から下げ、そしてパンパンにふくらんだ
リュックを背負って、・・・あ、それから炊き込みご飯のおにぎりを2個
持って、遠くへ旅立っていきました。
「もう1度イタリアの大学で勉強したい。」
来年の秋まで、ペルージャという街で再び暮らすことになりました。
ヨハンがいた時、2009年の最初の留学はイタリアとの交換留学だった
ので大学の授業料はかかりませんでした。
でも、今度は自分で決めた旅立ち、全部自分で準備しなくちゃいけない
からいろいろと大変そうでした。
1年間の大学の授業料と、病気や怪我をした時のための保険料も1年分、
アパート代に航空券、洋服や靴をぎっしり詰めこんだ大きな段ボール箱を
2つ、先にイタリアに送って・・・。
あゆちゃんはお金を貯めるために毎日アルバイトをしていたんだけれど、
3月の大きな地震の後、仕事が半分以下に減ってしまったんだって。
「どうしよう。予定が狂っちゃった。」
“求人情報”という雑誌とにらめっこ。 夏は、デパートの地下で
“笹かまぼこ”を売る仕事もしていました。
前に1度経験しているから、イタリア大使館への手続きはスムーズに
いくはず、でした。
ペルージャでのアパートの大家さんは、2009年と同じジョバンニさん
ご夫妻。大家さんが前回と同じ、これも安心、のはずでした。
大使館にビザの申請をするには、イタリアでの保証人として大家さんの
身分証明書が必要です。前と同じように、スキャンしてパソコンで送って
もらえば、東京へ申請に行くのに間に合うね。
そろそろ、ジョバンニさんに連絡を取ってお願いしよう。
ジョ 「スキャンのやり方がわからない。」
あゆ 「!?」
ジョ 「前の時は、仲介の人を頼んで手続してもらったんだ。」
あゆ 「・・・。」
ジョ 「ファックスで送るよ。」
イタリアから届いたファックスは、残念ながら黒くて何も読み取れません。
ジョ 「また送っても、きっと同じ。 郵便で送るよ。」
あゆ 「!!!」
間に合うかな? イタリアの郵便だからねぇ。
来る? 来ない。 届いた? 届かない。 まだ? まだ!!
イライラと毎日が過ぎていきました。航空券も買ってあるし、10月1日
には大学でクラス分けの試験があるし、困った。
このままだと間に合わなくなっちゃう。 どうしたらいい?
・・・そうだ! アレックス!
前回、同じアパートに住んでいたブルガリアからの留学生、アレックス君。
もし、彼がまだそこにいれば頼めるかもしれない。
あゆちゃんは、大急ぎで連絡を取りました。
あゆ 「アレックス、まだそのアパートにいる?」
アレ 「いるよ。」
あゆ 「やった! お願い。ジョバンニのところにすぐ行って、スキャンの
やり方を教えてあげて。」
アレ 「わかった。」
イタリア時間を待たされることもなく、まもなく、あゆちゃんのパソコンの
画面にはイタリアからの身分証が写し出されました。
やれやれ、間に合った、よかった。
そうか、“ブルガリア時間”だったんだよね、アレックス君は。
さて、最後の関門は、あゆちゃんのスーツケースの荷造りです。
「わたし、片づけは得意だけど、準備は苦手なんだよね。」
そう言えば、前回の留学の時は、いつまでたっても荷造りしないのを
あきれられ、出発の数日前の夜にひろちゃんが準備してくれたんだっけ。
あゆ 「できない。 ひろ、帰ってこない?」
東京の妹にメールするあゆちゃん。
ひろ 「自分でがんばれ。」
東京でピアノの練習とアルバイトに精を出すひろちゃん。
仕方なく、四苦八苦しながら出発の当日ぎりぎりセーフで荷物を詰めこみ
あゆちゃんは夜行バスで仙台を離れていきました。
ひろちゃんは東京へ、あゆちゃんはイタリアへ。残ったバナ子はさびしそう。
「できるだけ遊びに来るようにしますよ。」 頼みの綱はあべお兄ちゃん。
ところで、ジョバンニさんからの郵便は、その後どうなったと思います?
・・・1ヶ月も経つのに、まだ、届かないんです!
今頃、どこかへバカンスにでも行ってるのかな?
今日はここまで、またね。
Beethoven |