ベーからの手紙      

No.147  2010年6月21日

 元気ですか?
 バナ子は、訓練所でサマーカットをしてもらって
 全身すっきり。気持ち良さそうに眠っています。
 だけど、暑さには弱いみたいだから、夏は用心
 した方がよさそう。おととしの夏も、高い熱が
 下がらなくなったことがあるそうですから。


2年前に埼玉に引っ越して行った、ヨハンと友達だったメスのセント・バーナード。
そのご家族から、先日、お店に電話がかかってきました。
 「3月に骨肉腫が見つかり、後ろ足を切断しました。
  食事がのどを通らなくなってしまい、毎日注射器で流動食を流し込みました。
  今度は前足に転移して、また切断することが決まっていたんです。
  手術予定の2日前に息を引き取りました。」

この子の天真爛漫なおてんばぶりに、ヨハンはいつも圧倒されていたっけ。
人間が大好きで、人の顔をペロペロと大きな舌でなめ回すのが愛情表現でした。
あまりにも元気いっぱいで散歩の時に家族が引っ張られ、僕達と同じ訓練所に
入学しました。
あんなにエネルギーにあふれていた彼女がやせ細り、体重は33キロに。
こういう話はつらいねぇ、ヨハン。

北海道から仙台に何度か遊びに寄ってくれた女の子も、骨肉腫だったそうです。
ヨハン、君と一緒に西公園や国際センターを歩いたことがあったよね。
足を切断しても、最期まで気丈に自分の足で歩いていたって。
1代目のベートーベンもガンでした。イタリアのグイドさんの最初のセント・
バーナードは脳腫瘍。 大きな病気でつらい思いをして息を引き取った仲間の
話を聞くと、ため息が出てきます。
それに、僕たちは人間と同じくらいに体が大きいから、看病をする家族も大変そう。

おや、今度は岩手のセント・バーナードの仲間から電話がかかってきました。
なになに、知り合いのバーナード犬が、狂犬病の予防接種を受けたら
その日のうちに突然死んでしまった? なんてこと!
何も考えなくてすむように、とにかく次の子犬をすぐに欲しがっている、と。
了解。 すぐに訓練所に連絡しましょう。
毛の長いオスで、できるだけ大きくなる犬がいい?
う〜ん、足が太くてがっしり、モコモコと体が大きい子犬は多分大きくなると
思うけど、こればっかりは約束はできませんよ。

悲しい知らせで気落ちした後の、新入りを待つワクワクする気分。
うちの家族は、その子が岩手へ旅立つ前に、訓練所で会うのを楽しみに
しています。
まず、セント・バーナードの繁殖をしている人に、希望通りの子犬が今いるか
どうか確認をします。ちょうどいなければ、次の出産予定まで待ちます。
そして、母犬と離しても大丈夫な時期になると仙台の訓練所へやって来ます。
セント・バーナードの子犬に会うのは、生後3ヶ月の時のバナ子以来です。
 「もしもし、訓練所ですか。子犬が来たら、会いにいってもいいですか。」
 「子犬? もういないよ。岩手からすぐに引き取りに来た。」
あれれ、残念。 本当に“すぐ” だったんですね。
生後1ヵ月半、小さなぬいぐるみみたいな時だ。
家族はみんながっかり。 きっと、そのうち会えるでしょう。

悲しい思いを繰り返しても、この人達がどうしてまた大きなセント・バーナードと
一緒に暮らすのか、わかりますか?
それはね、僕達セント・バーナードが最高の犬だからですよ。
 
                            
                            今日はここまで、またね。 
                                 Beethoven
これ、僕にはとっても重いです。
山岳救助は他の犬に頼んで下さい。
公園で放されている小型犬が吠えても→
ちらりと見るだけで気にしなくなりました。
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