ベーからの手紙      

No.168  2018年11月8日

 元気ですか?
 
 とうとう、来ましたよ。うちの店の5代目の看板犬が。
 まだ生まれてから3ヵ月くらいの赤ちゃん。
 足はもっちりと太いけど、ほんとにちっちゃな
 セント・バーナードです。
 我が家は、急ににぎやかになりました。

 
パパとママがずっと考えていたように、予定通りのかわいい女の子かって?
いえいえ、それが違うんです。
やって来たのは、元気いっぱいの男の子。
いったい、どうしてこうなっちゃったんでしょうねぇ。

5月にバナ子が空へ旅立ってからしばらく経ち、パパとママは新しい
セント・バーナードのことを考え始めたようです。
やっぱり、一緒に暮らしたい。でも、自分たちの年齢と体力のことを考えたら、
もうオスは無理だ。オスの方が体は大きくなるし、力も強い。
僕が若かった頃のように体当たりで遊ぶことはできないだろうし、散歩も
きっと大変になるだろう。
だから次の子も、バナ子と同じようにセント・バーナードとしては小さめの、
力があまり強くならない女の子にしよう。
あゆちゃんとひろちゃんとも話し合って、5代目候補は「女の子」に
決まりました。
よし、妹か。

8月に生まれた9頭の子犬たち。
写真を見て、ちょっと気が強そうな女の子を予約しました。
 「11月3日に引き取りに行きます。」
祝日の3日、家族全員がそろってブリーダーさんの元へ。
わいわいと、小さなセント・バーナードたちがお出迎え。
頼んでいた女の子は、別のサークルの中に入れられていました。
 「こんにちは。あなたがうちに来るのね。」
でも、ところが・・・!
一緒に生まれたわいわい、がやがやの兄弟姉妹の中に、顔立ちが
とてもきれいなハンサムボーイがいたんです。
パパとママは、「2代目のべーの子犬の時に似ている」、つまり、
この僕に似てると思ったそうなんです。
8月に生まれたこの子たちの血統をずっとたどっていくと、僕の血統の
流れにつながります。この子たちは、僕と同じ家系なんです。
似ているはずです。

ブリーダーさんがこう言いました。
 「気に入った子がいたら、どの子を選んでもらってもいいですよ。」
ああ、このひと言で、パパとママの「女の子にする」という固い決心は
グラグラと揺れました。
先に決めていた女の子と、僕に似ている男の子の2頭を何度も
見比べて、歩く様子を見て、抱き上げてみて・・・「この子にします」。
指差したのは、男の子でした。

 「ごめんね。あなたも、どこかのおうちにもらわれて幸せに
  なれますように。」
約束していた女の子に別れを告げて、小さなオスのセント・バーナード
と一緒に車に乗りこみました。

作曲家のベートーベンが5番目に作ったピアノ協奏曲のタイトルが
”皇帝”。
だから、5代目の看板犬の名前はカイザー、ドイツ語で皇帝です。
名前に負けないような、りっぱな男になれますように。
みなさん、僕の弟、カイザーをどうぞよろしくお願いします。
 
                       今日はここまで、またね。
                             
Beethoven


5代目のカイザーです。

ちょっとだけ、地面に下りました。

あゆ&カイザー

ひろ&カイザー
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