カイザーの日記
  

    2024.1.1〜2024.1.19



 2024.1.1 (日 )
                (歩いていて疲れると、こうやって休憩します。)
 「カイザー、うちに着いたわよ。車から下りましょ。」
え?うち?・・・ほんとだ。 久しぶりだな。
ひろちゃん達は、帰っちゃったの? ふうん、そっか。

どれ、よっこらしょ。 ふうっ。
前は、車から下りるのはなんてことなかったのに、
この頃、なんだか大変になっちゃった。
・・・はあっ。

ここからうちの中に入るまでが、あぁ、遠いなぁ。
ちょっと坂になってるから、1歩ずつ、ゆっくり、よいしょ。
玄関が見えてきた。もう少し、ふうっ。
ただいま〜。

タオルで足をふいてもらって、中に入る。
疲れちゃった。 僕、横になるね。少し、寝る。

(カイザーは、新しい年を無事に迎えることができました。
ただ、脾臓を全摘したことにより、貧血になりやすい、
疲れやすい、などの症状があるそうです。
少し歩いただけで疲れるのか、伏せてしまいます。
回復後も無理せず、ゆっくりと。)

< 4日(木)から平常通り営業いたします。 
  発送のご注文も、4日以降にお送りいたします。 >
 2024.1.2 (月 )
                (柿の木の下で用を済ませて、すぐに戻ります。)
ごはん? ・・・ふんふん? だめ、この匂い。
食べられない。いらない。
 「ドッグフードは、だめか。」

うん? むむん? お!? この匂いは・・・。
 「これなら食べるか?」
う、うん、食べる。
パクッ・・・こ、これ、おいしい!
もぐっ・・・たまんない。

あぁ、おいしかった〜。

(ドッグフードも、病食缶詰めも、匂いをかいで拒否。
前日には食べたレバーも、いや。
では、牛肉なら・・・食べた!
とにかく、なにかしら食べてもらわないと。)
 2024.1.6(土)
                (もう、外を歩くことはできなくなってしまいました。)
(カイザーは、私たち家族の毎日の暮らしや心を、
太陽のように明るく照らしてくれる存在でした。
その太陽が、静かに輝きを失おうとしています。

正月、体調を崩しているわたしが思わずうめき声を
上げると、カイザーは顔を上げてじっとこちらを見ていました。
自分自身が、すでに大きくなっている肝臓の腫瘍で苦しい
はずだったのに。

大好きだったヨーグルトも、リンゴも、もう食べることは
できません。
つらさに耐えるように、目を閉じて、ひたすらじっとしています。

カイザーがおじいちゃんになるまで、ずっと一緒にいられる
ものと思いこんでいました。
顔がすっかり白髪になっても、かわいいカイザーでいてくれる
ものと思っていました。
たった5才で、別れがくるなんて。)
 2024.1.10(水)
              (生後3ヶ月くらいのカイザー→おととしの暮れ頃?→現在)
(病院の正月休みが明けるのを待って診察を受け、
「もし再度手術をするなら今夜にでもしますが、
今日がカイザーの命日という覚悟をしてください。」という
院長先生の言葉。
「手術中に息を引き取る確率も高い」という危険な手術は
あきらめ、緩和措置をしていただきながら、「あと1週間から
10日くらい」というカイザーの命と向き合う選択をしました。
ひろときー君が、つきっきりで看病をしてくれています。

毎日、午前中は病院で点滴と注射。午後は家で静養。
小さな犬さんから大きな犬さんまで、元気だった時に一緒に
遊んだ友だちが次々と見舞いに訪ねてくれ、まるでカイザー
専属のドッグラン。
カイザーは、仲間から精神的に元気をいただいています。

ただ、あまりお見舞いが続くとカイザーが疲れてしまうため、
みなさんのご厚意をすべてお受けすることができず、
申し訳ございません。

診断から、1週間が経とうとしています。
正月以来、口にするのは少しの水だけ。
ふわふわの美しい毛並みは、輝きを保ったままです。

・・・と、ここまで書いたところで、ひろから連絡が。
 「1週間経つのに、ここまでがんばってるのはすごい。」との
先生からのお言葉。
きっと、みなさんからのパワーのおかげです。
体調次第ではありますが、大好きなドッグランに顔を出して
いいと許可をいただけたそうです! )
 2024.1.12(金)
            (2018年11月3日、カイザーとの初対面) (いざ、仙台へ!)
(本日、1月12日の明け方、5代目の看板犬・カイザーは
静かに空へ旅立ちました。

前の日に、病院から許可をいただいてどこよりも好きだった
ドッグランへ行き、最後の力をふりしぼってフィールドに下り立ち、
仲間に会うことができました。

たまった腹水でお腹は膨れていましたが、緩和ケアで
悶え苦しむようなことはなく、ひろに寄り添われての
最期でした。

5年5ヶ月の短い命を、天真爛漫に、明るく、素直に、楽しく、
わがままいっぱいに、猛スピードで駆け抜けていきました。
さよなら、カイザー。

かわいがってくださったみなさま、体調を心配してくださった
みなさま、本当にありがとうございました。)
 2024.1.13(土)
     (生まれた時から一緒にいたカイちゃん、きー君は大きくなってから覚えてるかな。)
( 「カイちゃん、起きて・・・。 起きてよ、カイちゃん。」
12月に3才になったばかりのきー君が、カイザーに声をかけます。
なぜカイちゃんが眠り続けているのかがわからず、
困ったような顔でカイザーの体の回りをうろうろ。
その姿を見つめるひろが泣いています。

今までだったら、飛び起きてきー君のお顔をペロペロと
なめまくっていたカイザーお兄ちゃんは、もう起き上がることは
ありません。

いつも一緒だったカイザー&きー君。
一緒に西公園や青葉通りを歩くことも、川やプールで遊ぶことも、
ドッグランで山登りをすることもなくなってしまいました。

きー君が、カイザーがいなくなったことを理解できるのは、
いつ頃のことでしょうか。)
 2024.1.15(月)
              
              
     (カイザーのために、たくさんのお花をありがとうございました。
      お花の写真を全部載せきれず、ごめんなさい。)
(カイちゃんは、お空に行くんだよ、とママに教えて
もらったきー君が、青空を見上げます。
  「かいだん(で行くの)?」
 「そうだね、お空の階段を登って行くんだね。」
  「ひとつ、ひとつ、ゆっくり(1段ずつ、ゆっくりね)。」

カイザーが空の階段を登っているであろう日曜日の朝、
仙台空港の近くの火葬場からは、幾筋も、幾筋も、
青空に飛行機雲が伸びていくのが見えました。

みなさんからお見舞いでいただいたたくさんのおやつと、
前足で抱えてしゃぶっていたクマのぬいぐるみと、
いただいたお花に囲まれ、5年前に我が家にやって来た時
から使っていた毛布にくるまれて、お空へ消えて行きました。)
 2024.1.19(金)
                  (みなさん、僕のためにきれいなお花をありがとう!)
(カイザーが空へ旅立ってから1週間が経ちました。
なんというか・・・、家族は嘆き悲しむというよりも、ぼーっと、
呆けてしまっています。
「はあーーっ」と深いため息をつき、しばらくぼーっとして、また、
ため息をつく、を繰り返し、毎日を過ごしています。。

14才だった2代目のベートーベン、10才だった3代目のヨハンと
4代目のバナ子との別れの時の方が、悲嘆にくれました。
カイザーの旅立ちはあまりにも早く、突然過ぎて、あっけなくて、
何がなんだかよくわからない、まだ認めたくない、のかも
しれません。

現実をしっかりと受け止めているのは、3才になったばかりの
きー君、大人よりもしっかりしています。
 「かいちゃんは、おそらだよ。」と人差し指を空に向けます。

日曜日に青空に高く伸びていった美しい飛行機雲を思い出し、
ドッグランでのかけっこでショートカットというズルをしていた
カイザーのことだから、「カイちゃん、飛行機につかまって
お空に行ったかな」と話しかけると、
 「ちゃう!(違うよ) かいだん!(ちゃんと階段を登ったよ)」

”メアリー・ポピンズ”のお話の中で、バンクス家の末っ子の
アナベルが、窓辺に来たコマドリとおしゃべりをしたように、
きー君はカイザーと交信することができたんでしょうね。)