「 若林ひとみの文京区議会便り  No.5  1996年 夏号 
     多くの人に会い、多くのことを得た、忙しいながらも楽しい夏でした。
      
          1996年8月26日発行  全4ページから抜粋・要約
        ( 議会便りの後に、議員時代のホームページからの文章を掲載 

              

                文教委員会(6月20日)の報告

文教委員会の目下の懸案は”区立学校の適正規模・適正配置”、つまり区内の子供の数が減っている
ことによる学校の統廃合である。
この問題にからみ、昨年10月に京都市、今年5月に北九州市に委員会で視察に出かけた。
京都市は、学校統廃合の必要性を住民に説明する32ページのパンフレットの作成だけでも3年をかけ、
住民主導で時間をかけて”新しい学校”を作り上げた。
一方の北九州市は、行政主導の統廃合、パンフレットもわずか4ページ。
委員会での教育長と担当課長の話、また地域住民への説明会の内容からも、区は”北九州方式”を
考えている様子がうかがえる。
”文京区は文教区” と言うのなら、京都方式で住民と共に問題を考えていってほしいと思う。

九州の視察はそれなりに得るものはあったが、飛行機で行くほどのものだったか?
既に統廃合が行なわれている都心部の他区の視察で十分参考になったのでは、と思う。

「文京区議会申し合わせ事項」により、委員会視察は2泊3日と決まっている。
京都視察2日目は夜の新幹線で東京に戻れる日程だったので、「泊まらずに戻りたい」と要望を出したが、
議会事務局から「現地での滞在が夕方5時を過ぎたら1泊する決まり」と却下された。
また、「新幹線はグリーン車ではなく普通車でいい」とも申し出たが、「グリーン車と決まっている」と
これも却下。理由は「議員のステータス」とのこと。
私が議員になる以前には、グリーン乗車券を普通乗車券に変え、差額で宴会を開いたというが、
この場合 ”議員のステータス” は一体どこへ?


            
         
 公会堂特別委員会(6月14日、7月5日)の報告

公会堂の建設計画は、残念ながら着々と進んでいる。抜本的見直しを求めても、数で与党に負ける。
6月の委員会の前に、区が昨年9月に行なった”文京区政に関する世論調査”のうち、シビックセンターに
関する回答をやっと見せてもらえた。昨年11月に見せてほしいと頼んだ時は断られた。
有効回答1008通のうち、シビックセンター(公会堂を含む)に否定的意見が書き込まれたものが110通、
肯定的意見が書き込まれていたのは、わずか2通だった。
「税金のムダ、公会堂は不要、建設反対、中止せよ、建設費を削減せよ、ムダなスペースが多い」等々、
回答者が自分の言葉でシビックセンター建設を批判していた。
しかし、この世論調査の結果が掲載された区報では、このことは全く報じられなかった。
職員から、「区報にシビックセンターに対する区民の批判を載せようとしても、上からの圧力でできない」
と聞いた。
公式の世論調査であるのに、自分達の意図に都合が悪い区民の意見は切り捨てる・・一体、何のための
世論調査なのか? 区長や与党議員は「建設は区民の要望だ」と言うが、世論調査の結果を見ると、
私はそうは思わない。

シビックセンター内の郵便局利用者のために、区は郵便局前に自転車置き場を作ることを委員会に
提案、私も賛成した。 しかし与党議員から「設計者の哲学として、自転車置き場にするために空間を
作ったのではない。そういうデザインだ。」と反対意見が出された。
私は「郵便局があそこに入るのはわかっていたことなので、利用者のために自転車置き場が作られて
しかるべきだった。デザインのためのデザインではなく、区民の使い勝手の良さを優先すべきだ。」と
反論したが、この提案は却下された。


           
                    みなさんのご意見の紹介

後楽園の隣の醜悪な建物、東京の恥。国民の税金で運営される政治は全て公開を原則とすべき。
  公務日誌が義務化されていないのも驚きだ。

「環境をよくしよう」と提案しながら変な建物を建て、区が環境を悪くしている元凶ではないか、と
  抗議の葉書を送ったが、区報に載るのは「区民は喜んでいる」との賛美ばかり。

大きなハコを作ればたいそうな仕事をしたように思い、生活に必要な仕事はできない悲しい行政。

区議会には興味の持ちようもなかったが、この「便り」を読んで興味を持つことができた。

区報では見えなかった(見ようとしなかった)ことが、「便り」で見えてきて区民意識に目覚めつつある。

「区民のために委員会をやってるんじゃない」という発言に、多くの古参議員の意識が集約されていると
  思う。ただ、これも住民の無関心によるところが大きいとすれば怒ってばかりもいられない。

議員というのは、男社会の悪いところを代表しているように思える。でも、世の中は少しずつだが
  変わる。あせらずに活動を続けて。
私のコメント> 少しずつながら世の中が変わってきていることは私も実感する。区議会議員の仕事も、
  「開かれた議会をめざす会」の活動も楽しみながらやっている。

「便り」の内容は素晴らしいが、一体どれほどの人々が読んでいるのか? 内容が硬い。大切なのは、
  限られた人だけでなく、いかに多くの普通の人々にコミュニケーションができるかである。
私のコメント> 私の性格もあって、こういう紙面になっている。今回は文字量を減らしてみた。

あなたの意見はごもっともだが、あなたの考えた通りでは政治はやれない。もしあなたが区長に
  なったら、もっと不可解なことが起こると思う。


               
                       その他


7月に10人の議員が海外視察に行ってきた。経費は1人当たり約100万円。 海外視察は、昨年を
除き毎年行なわれている。今までの報告書を読んで、税金でわざわざ行なうほどの視察か疑問に思う。

9月11日に3回目の一般質問を行なう。また、9月12日は公会堂特別委員会、9月20日は
文教常任委員会が開かれる。どちらもぜひ傍聴を。
税金で報酬を得ている議員がどのような質問をするか、あるいは居眠りをする、聞くに堪えないヤジを
飛ばす等の姿をご自分の目と耳で確かめてほしい。
文京区には、常にアルコールの臭いがする議員もいる。夕方になると臭いはかなり強烈である。
今春の九州視察の際、この議員は先方の説明中に熟睡していた。本会議場でも熟睡、採決の際には
同僚議員に腕をつかまれて立ち上がった。 ”議員”は酔っ払って寝ていても年収1000万円以上。


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              議員と公務員の倫理 「月刊婦人展望」 (1998年3月号)


 これでもか、これでもか……と日々伝えられる大蔵官僚の汚職事件。接待を受け、職務に関わる重要な情報を
 漏らす、という倫理観の乏しさには怒りを覚えるが、その“接待”の内容の下品さには怒りを通り越して、
 ただ呆れるばかりである。
 しかし考えてみれば、官僚も政治家のやっていることを真似しているにすぎない。
 外務省に入った大学時代の友人(女性)から、海外視察の折に売春宿を訪ねたがる国会議員の話を聞いたのは、
 15年以上も前のことだ。 そして国益よりも、地元や自分の支持者の利益を優先させる議員たち。
 政治家が官僚の目から見て尊敬に値する存在ならば、大蔵官僚もここまで脱線することはなかったろうと思う。

 地方自治に関しても同じことが言える。ここ数年、その調査と追求を行ったのは市民団体で、議会ではなかった。
 どんなに立派なことを言っていても、お金(ことに公金)の使い方に問題のある議員を私は信用しない。
 “市民派”の、しかも女性の議員の中にも、観光旅行まがいの海外視察に参加したり、政務調査研究費の使途が
 いい加減な人がいて失望させられることがある。

 議員が厚遇や特権を甘受し、自ら公金のムダ遣いを行っていては、有権者の政治への信頼回復は望めない。
 まず議員が襟を正し、議会の浄化を進めよう、と私は2年前に「開かれた議会をめざす会」を設立した。
 会員は現在、沖縄県から北海道までの37都道府県に約230人。うち約100人が地方議員だ。

 議会による公金使途の是正は、議員がその気になればすぐにできることである。
 日本の3300の全自治体に「めざす会」会員が1人ずつついてくれれば、議員や公務員のモラルも
 少しは向上すると思うのだが……。

           
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