「 若林ひとみの文京区議会便り   No.18  2001年夏号 
      

   ー 暑中お見舞い申し上げます。1年以上、ご無沙汰してしまいました。
       とにかく忙しかったのです。1年分まとめてのご報告です。 −

     2001年7月24日発行  全6ページから抜粋・要約

              
                裁判に実質勝利!!

シビックセンター建設工事の単価表の開示を求めた裁判(原告は私、被告は文京区とS建設他の
共同企業体)は昨年5月に双方の主張が終わり、判決言い渡し期日を待つだけの段階だった。
しかし区が突然、それまで全部黒塗りだった単価表を6月26日に全面開示した。
その結果、訴えの利益がなくなり判決は却下だったが、私の提訴は「権利の伸長に必要な行為で
あったと認めることができる」として、訴訟費用は被告の負担となった。つまり、実質の勝利である。
(実は、法廷で私達と被告との間でとてもおもしろいやりとりがあったのだが、これを書くと長くなる
ので、話はいずれ本を書くときに紹介する。)
  開示された単価表の1部を掲載→和室スダレ 1枚4万6千円  スノコ 1枚7万1千円
              (引き戸なしの)下足箱 1つ36万円(専門家の話ではせいぜい数万円の品)
              玄関の腰掛け 1つ33万4千円   飾り棚 1つ21万5千円  等
なお、シビックセンター第1期本体工事の入札予定価格は245億812万円、共同企業体による
落札価格は245億円、落札率は99.966%。ほとんど神業に近い落札率である。
さて、この単価表をもとに私は新たな裁判を始めた。これこそが、私が最もやりたかった裁判。
シビックセンター建設にからむ損害賠償請求である。
ふだんの裁判は書面のやりとりで5分程で終わってしまうが、それでもよければ、
傍聴ご希望の方はぜひお出かけを。

                
                予算修正案について

私は、@議員待遇者会への補助金等、議会費のさらなる見直し A入札制度や積算額の見直し
B国際交流基金積立金の取り崩し C施設の維持管理費や人員配置の見直し 等により財源を
確保し、その分を D子育て支援の充実や栄養士未配置校の解消に充てることを求めて、
予算案には反対した。


                文京区基本構想について

文京区基本構想が23年ぶりに改正された。
基本構想とは、地方自治法第2条第4項により、区が文京区を将来どのような街にしたいか、
そのために何をするかを定めることを義務づけられたもので、議会の議決が必要である。
99年10月に基本構想審議会が設置され、公募委員と議員を含む29名の委員が、今年5月までに
全体会16回と4つの分科会(のべ41回)を開き、答申をまとめた。私は、全体会14回と分科会9回を
傍聴した。
昨年暮れから審議内容が充実してきて、ことに公募委員から様々な意見が出され答申に反映された。
審議会の進行状況に応じて担当課長が自発的に休日出勤して(審議会は主に土曜日に開催)傍聴、
必要があれば意見を述べていた。
今までの審議会は公募委員もなく、非公開のものもあったが、今回の基本構想審議会は区民の
意見も取り入れた開かれたものだった、というのが傍聴を通しての私の感想である。
できれば、各回の間にもう少し時間をおいて、委員がもう少し推敲する時間があり、欠席者が
少なくなるような全体会開催であればよかったと思い昨年の一般質問で取り上げたが、
残念ながら当の審議委員からは要望は出なかった。

ただ、そもそも基本構想とは、首長をめざす人が自分の支持者やブレーンとまとめあげ、選挙公約と
して掲げて戦えばよいのであって、地方自治法の定め自体が地方分権の時代にあわなくなって
きていると思っている。


                   外部監査について

昨年度から、区は外部監査制度を導入した。現行の監査制度を活性化させる方が先ではないかとも
思うが、税金の無駄遣いのチェックが厳しく行なわれるようになるのであれば反対する理由もないので
導入には賛成した。
しかし、735万円の費用をかけた監査結果報告書を見て驚いた。ひとことで言えば、内容がお粗末。
公認会計士4人と助手5人で行なってこの程度?と思ってしまった。

今回の調査は大別すると、図書館等の区民施設の費用対効果調査と入札制度調査であった。
しかし施設調査については施設の役割が理解できていないようで、時間をかけて調べたようだが
それが一体何になるのか、という内容である。(たとえば、各図書館ごとに購入する本を選ぶ作業に
かける時間を比較して効率化が可能と提案しても、分単位で効率化を求める作業でもない。)
担当職員も、予算委員会で「外部監査委員が行政の仕事を理解していないため苦労した」と
発言している。
入札制度の調査は私が今まで1人で行なってきた調査とほとんど同じ内容だが、私の経費は
パソコン入力の人件費とコピー代でせいぜい20万円程度である。ただ、私がいくら議会で
改善提案をしても区は改善に取り組む姿勢を見せなかったから、外部監査委員からも同様の指摘が
出ることは意味があると思う。しかし、700万円もかけた調査ではないというのが報告書を精読しての
感想である。
内容が今の程度なら経費は100万円程度が妥当と思い、今年度の監査委員の選任には反対したが、
議会過半数の賛成で今年も同じ委員が昨年と同額で行なう。これこそ、税金の無駄遣い!


                   費用弁償について

2月の議会で、共産党から費用弁償(議員が本会議や委員会に出席すると、議員報酬以外に支給
される日当・交通費。文京区は1日当たり5千円。返還は公職選挙法違反となりできない。)を
5千円から1千円に減額する条例改正案が提出された。賛成したのは市民フォーラムのみで
他会派は反対。私も、費用弁償は減額ではなく廃止すべきとの理由で反対した。
私の1票で1千円に減額する改正案が可決するという状況であれば、私の考えと異なる部分は
あっても「より良い選択」として賛成したが、反対多数で否決されることが明らかだったので
上記の理由で反対した。

費用弁償とは、議員がかつて名誉職として地域の名士が務めていた時代の名残りであり、
議員報酬が導入された時に本来廃止されるべきものであった。
私は、6年前に議員になって初めて費用弁償のことを知った。そして、議員1年目で参加した
予算委員会でこれに反対した。しかしこの時は共産党の議員ですら、「費用弁償は議員に必要。
5千円という金額も妥当である。」とし、反対したのは私だけだった。
今回、共産党や市民フォーラムが減額を考えたのは6年前と比べると大きな進歩だが、もう1歩
踏み込んで廃止を考えてほしかった。


                   シビックセンターの植木がなくなりました

この春から、シビックセンター1階や吹き抜け部分にあった植木が、財政難に伴う措置として廃止された。
シビックセンターはとても無機質な建物だから植木がある方がよいと思うが、植木リースの入札を
行ないながら、毎年同じ業者(区内最大手の造園業者)が落札していること、単価が都庁と比べても
かなり割高なこと(区議会だより12号参照)は問題だと思っていた。
この業者は区立公園の花壇の花や苗も納入しているが、この単価も入札にもかかわらず市販よりも
割高である。現在、公正取引委員会が談合疑惑で造園業者を調査中である。


                       
雑報・雑感

  
★公園ガーデナーをやっています
区は昨年から、区立公園の花壇の手入れを区民に任せる“公園ガーデナー”制度を始め、私も
地下鉄丸ノ内線後楽園駅そばの公園の花壇の手入れを、区民の皆さんとやっている。
花壇に水をやったり、草取りをしたり、ストレスの解消には最適。都心の小さな花壇にもバッタや
テントウ虫がいて、天気のいい日は花壇にいるだけで幸せな気分になる。

  
★来年度教科書をご覧になりましたか?
教育センターでは各社の教科書見本を展示している。私も2回行って、計4時間ほど、中学用公民の
教科書を中心に見てきた。歴史教科書についてはマスコミ報道もあり、一般的な関心も強いようだが、
私は、公民教科書も歴史と同様に議論されるべきだと思う。住民主権や議会の役割等、民主政治に
ついて学ぶのが公民の授業だからである。
さて、私は“文京区の子供たちに使ってほしい教科書”という視点でいくつかのテーマ毎に全教科書を
見比べ、気に入った教科書をじっくり読んでみた。私が通読したのは、“ともに生きる”というサブタイトルが
ついたものだった。

  
★裁判傍聴ご希望の方へ

@ 8月6日  都議会議員姉妹都市訪問偽造領収書事件
A 8月21日  都議会議員海外視察偽造領収書事件
B 8月28日  シビックセンター建設損害賠償請求

いずれも東京地方裁判所、6階606法廷である。 
@は前回、裁判長から被告(都議会議員)側代理人に「原告(若林)は自分の利益のために裁判を
やっているわけではない。今後こうします、という改善提案はできないか」との発言があった。
つまり、都議会側から改善提案が出れば和解も考えられるのではないか、という意味である。
都議会側が裁判長の発言をどう受け止めるか、期待したい。

       過去2回の一般質問等、今回書き切れなかったことは次回にご報告する。
       収支報告も次号に掲載、15万円の赤字であった。カンパをお願いしたい。

                ★       ★       ★       ★       ★

ご報告  若林ひとみの死後、故人と志を同じくする方々が引き継いで下さっていた住民訴訟、
      東京都知事へ高額な海外視察旅行費の返還を求めていた訴訟は、2009年4月に最高裁が
      審理を却下して終了となりました。
      「知事は現在、ホームページで海外出張の概要を報告するようになっている。
       一定の改善は見られたという点では大きな意義があったと思う。
       一審の勝訴後、各報道機関が報道したことで、都政の私物化批判で知事を反省させる
       結果ともなった。」 と、この問題を最初に記事にした新聞記者の方の弁です。 


      長い年月訴訟に関わって下さった方々、本当にお世話になりました。
      結果は、姉の霊前に報告いたしました。