「 若林ひとみの文京区議会便り   No.17  2000年初夏号 
      
      (忙しかったのか、今号は、ひとことコメントはありません。)
       2000年5月23日発行   全4ページから抜粋・要約

             
            2回目の一般質問(2000・2・23)より


質問1
 @環境対策課は、建築主や施行業者にアスベスト建材の使用を抑制するよう、
   これまでどのような指導を行なってきたか。
 A冊子「ぶんきょうの環境」におけるアスベスト飛散防止対策の記述を過去何年分か
   比較すると、記述が後退している。その理由は?
 Bアスベスト除去工事届出台帳の長期保存が検討されない理由は?
 C民間事業者・設備工事関係者への啓発・指導を来年度事業として全く考えない理由は?
区長答弁
 @注意事項等の文書を作成し、建物解体業者へ指導を行なった。
 A内容の見直しとともに文言の修正を行なった結果、一部文章を削除した。
 B今後、検討する。
 C書面等により周知を図ってきたが、今後も啓発・指導を行なう。
解説
 文京区では、業者に対しても、区の技術系職員に対しても、アスベストの危険性や
 含有建材の取り扱い注意についての指導を1度も行なってきていない。
 「ぶんきょうの環境」の記述後退も、環境対策課の問題意識の低さを物語るものだと思う。
 アスベスト除去工事届出台帳は、10年分を保存したとしてもA3用紙100枚足らずの分量。
 文京区では現在この台帳を3年間しか保存していないので、私は昨年秋から何度も、
 環境対策課長に長期保存を検討してほしいと要望してきた。
 しかし課長の答えは、「無駄。役に立たない。必要ない。時期がくれば検討する。」
 (事件が起きた今検討しなくて、いつ検討するのか?)
 民間業者への啓発については、「この前、文書を出した。それ以上何をやれと?」
 文書を1枚出して仕事が済むのであれば、文京区は有能な人が20人もいれば充分である。
 
 公共工事ではアスベスト対策がだいぶ取られるようになったが、民間は無防備状態も多く、
 その結果犠牲になるのは現場の職人さんであり、アスベストが飛散した周辺の住民である。
 日本では、数年後にアスベストを使用した建物の解体がピークを迎えるそうだ。
 今、民間業者への啓発・指導をきちんと行なわないと、知らぬ間に住民がアスベストを
 吸引することにもなりかねない。
 環境問題はこれからますます重要性を増すのに、こんなに問題意識が低くてやる気のない
 課長では先が思いやられる、と思っていたら、この4月に異動した。


質問2
 区長の施政方針演説に「区民1人1人が安心・安全に暮らせる心のバリアフリーの実現」と
 あるが、心のバリアフリー実現への方策をどのようにお考えか。
区長答弁
 地域福祉計画において心のバリアフリーの普及・啓発を取り上げ、社会福祉協議会の
 活動を通じて実現に向けて取り組んでいきたい。
解説
 今年度事業費を見ても、どのように心のバリアフリーを目指すのか全く見えない。
 「言うは易く行なうは難し」が心のバリアフリー、一朝一夕にできるものではない。
 点が線、線が面となって、あらゆる行政分野で達成されれば、文京区は真に誰もが
 安心して住める町になるだろう。区長のお手並みを拝見しよう。


質問3
 バランスシートの来年度中の作成のためには予算や人員配置が必要だが、どのような
 検討がされているか。また、これを機に財政担当専門職員の育成を心がけてはどうか。
区長答弁
 バランスシート作成については外部の専門家の助力をいただき、そのための経費は
 平成12年度当初予算に計上してある。職員の執務能力向上には充分配慮していく。
<解説
 97年9月、私が初めてバランスシートについて質問をした時の前区長の答弁は、
 「地方自治体への企業会計方式の導入は非常に難しい。」というものだった。
 しかしその2年後には、他会派からもバランスシート導入を求める質問が相次ぎ、
 区長も「来年度中には作成する」と積極的姿勢を示した。
 しかし、バランスシートの作成は職員が日常業務の合間にできることではなく、
 また、作ることが目的なのではない。
 使いこなして、住民に説明責任を果たすための道具として作られるのである。
 今後は、庁内各課にバランスシートを使える職員が必要となってくると思う。
 区長には、バランスシートができた後のことを考えて人材育成を心がけてほしいが、
 そこまでは思いが至っていないようである。


質問4
 教育広報紙の発行に際し、教育委員の編集への参画は検討されているか。
 また、提供する内容は区民が教育に関し欲している情報、つまり、給食や教科書の
 選択、日の丸・君が代についての教育委員の見解など、学校教育を中心としてはどうか。
区長答弁
 教育委員が広報紙の編集に新たに関わることは考えていないが、編集方針や内容等に
 ついては委員会に報告して委員の意見を伺いたい。
 今後、編集方針や提供内容を充分考慮の上、検討したい。
解説
 文京区は、今年度の主要事業の1つに教育広報紙の発行をあげている。
 事業計画がわかった時点で、教育委員がどの程度編集に関与するのか聞いたところ、
 作業は全て職員がやり、委員には報告のみ、また、内容も生涯学習まで含むとのこと。
 区議会が作成する「ぶんきょう区議会便り」は、議員が毎回時間をかけて編集に携わっている。
 教育委員会の広報紙も、委員の方々に能動的に編集に関わっていただきたいと思った。
 
 さて、私がこの質問を行なった後、教育委員会の開催方法に変化がみられた。
 これまでは、資料を見ればわかることも職員が毎回長々と説明をしていたのだが、
 この説明をやめ、その分、審議にかける時間が増えた。
 これなら、編集委員会を別に設けずとも、教育委員会の枠の中で“編集会議”を
 行なうことができる。
 今年度は試行的な発行だが、今から楽しみである。


              
            国際交流の顧問料 問題なし!
 
 
「便り 16号」に記した、早稲田大学教授の顧問料につき住民監査請求が出されたが、
 結果は「すべて問題なし」。 (詳細は新聞記事で)

           2000年3月16日付け    読売新聞  (1部を掲載します)

 「   早大教授の助言料1460万円不当    返還求め住民監査請求

   文京区が姉妹都市協定を結んでいるドイツ・カイザースラウテルン市との交流事業に絡み、
  早稲田大学教育学部教授(経済史)に対しこの10年間に支払われた助言料などが
  不当な支出だとして、約1577万円のうち約1462万円を区長が区へ返還するよう、
  同区在住の主婦4人が住民監査請求を起こした。
   総務部長は、『適任者が他におらず、妥当な金額だと思う。ただ議会でも指摘があり、
  来年度からは減額も考えたい。』としている。
   請求について早大教授は、『区の依頼で引き受けただけ。妥当な金額だ。』と話している。
  
           
           2000年5月13日付け    東京新聞
  (1部を掲載します)

     高額助言料『問題なし』     文京区監査委員

    文京区が国際交流事業で大学教授に過剰な助言料を支払っていたとして、区民4人が
  約1460万円の返還を求める監査請求をしたことに対し、監査委員は『不当な支出はなかった』
  とする監査結果を通知した。
   請求者の1人は、『高額な助言料を支払っているのにもかかわらず、電話のたびに謝礼を
  支払うなど、最低限これはおかしい、と思ったことも認められず非常に残念だ。』と話す。
   区の国際交流担当課長は、『助言料などは批判も受けているので、見直しを検討している。
  今年度分も執行していない。』と話している。 
 

 国際電話をかけた記録が提出されていない7回の通話分について総務部長は、
 「教授が早大からかけることもある」と説明したが、そうだとすると、文京区が支払うべき
 国際通話料を早大が負担していることになる。
 文京区は昨年度から、海外事情にも通じておられる3人の前・現・大学教授に専門委員に
 なっていただき、区政に助言を受けることになった。今後の国際交流については、
 この専門委員にアドバイスをいただけばよいのではないか?

 4年前、この教授に100万円で作成協力してもらったカイザースラウテルン市についての
 ブックレットだが、400字詰め原稿用紙1枚当たりの原稿料に換算すると3万3千円。
 (これは、書き下ろしの原稿料としてもかなり高額)
 そのうち33%は初版と同じ記述で、さらに大部分は、ご本人・及び他の著作物を参考に
 書かれたと思われるが、ご自分の本以外は出典・参考文献が明記されていない。
 他の本の執筆者の方々は、この事実をご存知なのだろうか?
 また、教授が翻訳した手紙をチェックしてみたが、文体や書式が不統一で、同じ人が
 訳したのかどうか疑問がある。独文和訳には文法的誤りが散見され、日本語を習ってる
 外国人が訳したような言葉であるが、これに世間相場の3倍の翻訳料を支払う意味が
 見出せない。
 これらのことも監査委員に伝えたが、結果は「問題なし」だった。
 
 翻訳料9千円の独文和訳をお見せしよう。他の訳者に頼めば3千円で済む。

  「    文京区長  煙山 力様

    私の副市長就任にあたりお祝いのご挨拶をいただき大変喜びといたします。
    両市の間の距離が大変離れているにもかかわらず、私どもの姉妹都市関係が
    非常に活発であり、今後も活発なものであろうことを私は存じております。
    これに加えて、姉妹都市関係が交流プログラムを通じて幅広い基盤を
    見出しております。建設中の日本庭園は、当市との関係、特に日本との関係を
    より一層明白なものとすることでしょう。
    ご挨拶とともに近々のご訪問を期待しております。

      1999年9月3日            カイザースラウテルン市副市長
                                 Dr.エッキングハウス         」

 ドイツ語の翻訳をしている知人が、「私がこんな訳をしたら、もう2度と仕事がこないと
 思う。」と言っていた。

 
                    雑報・雑感
 

 人事異動で課長が変わり、課全体が見違えるようになった課がいくつかある。
   課長が変わると、こんなにも変わるものなのか。
   つまり、それだけ課長は大事なポストなのだと、つくづく思う。

 韓国の「落選運動」のスタッフが4月に、事務局長が5月に来日、会う機会があった。
   話をしての印象は“若さと知性”、中心メンバーは30代で頭脳明晰。
   1年前から「韓国の政治・社会改革」をテーマに長期的活動戦略を立て、すでに
   4年後の次期総選挙に向けて動き出している等、話を聞いたが、充分に知的興奮を
   味わうことができた。
   通訳をしてくれた日本に留学中のRさんは、「10年後の韓国が今の日本のように
   ならないように、日本の政治を学んでいる」という。

 前号に載せた区長交際費出納簿の中の「生長の家 講習会受講費」はおかしいのでは
   ないか、と何人かの方からご意見をいただいた。
   実は、これ以外にもおかしな支出があり、4月になったら(1年分全部について)
   一緒に調べて下さっている方々と問題提起をするつもりでいた。
   ところが(私は知らなかったのだが)、ある方が2月に「生長の家」分についてのみ
   住民監査請求を行ない、生長の家は区にお金を返し、監査請求は却下という
   中途半端な結果に終わった。
   成果を上げるためには充分な調査が必要である。私の便りを読まれて行動を
   起こされる前に、どうか私に、「こういうことをやろうと思う」とご連絡下さい。
   私がここに記しているのは、全体のごく1部なので。