「 若林ひとみの文京区議会便り No.16 2000年新春号 」
− 忙しかった年が明けて、また忙しい年が始まりました。
せめて、明るい年になりますように。 −
2000年1月25日発行 全6ページから抜粋・要約
(2期目として最初の区議会便り No.15は、残念ながら私の手元にありません。
代わりに、支持して下さる方々にお送りした、選挙のためのハガキをご紹介します。)
『 文京区議会議員候補 若林 ひとみ 無所属 45才
*1953年生まれ 東外大ドイツ科卒
*フリーライター・翻訳家
(市区町村レベルの地方議員は専従属である必要はないと思うので、“区議”を職業としては名乗らない。)
*シビックセンター及び公会堂の建設見直しを求める住民運動を通し、地方議員の問題と重要性を痛感。
4年前、告示日直前に立候補を決意し、ポスター・選挙はがき・選挙公報のみ(費用総額7万円)で初当選。
<この4年間の主な成果> → 区議会便りNo.14に載っているので省略します。
<次の4年間にやりたいこと>
1.入札制度の改善 −過去の入札状況を精査し、談合が起きにくい入札方法を提案したい。
2.教育委員会の活性化 −夜の教育委員会を定期的に開催したい。
また、“委員の区民推薦制”導入の道筋をつけたい。
3.監査制度の見直し −監査委員が税金の無駄遣いをチェックするシステムを考えたい。
4.公会計への企業会計方式の導入 −区の借金等が区民に見えるようにしたい。
なお議会改革は、「開かれた議会をめざす会」の活動を通し、今後も続けていく。 』
あけまして おめでとうございます
昨年7月に「便り」15号を発行して以来、ご無沙汰した。
発行直後に「さしがや保育園アスベスト問題」が起き、この問題にかかりっきりとなっていた。
解決の兆しは見えてきたが、遠藤区政の負の遺産を引き継いだようなこの問題はまだ決着していない。
区長が変わっても文京区は相変わらず。このようなことで議員が飛び回らなくてもよい区政であってほしい。
さしがや保育園アスベスト問題
昨夏の園の改修工事で、区は事前に吹き付けアスベストの存在を知りながら、保護者・園・工事業者に知らせず、
なんの防護策もとらずに保育を行ないながら工事を進め、アスベストを飛散させた。
そのため、現場の隣の部屋にいた1才児を中心に、園児・保母さんたちがアスベストを吸引してしまった。
事件が起きた後も、区は「アスベストには触れていない」「業者が勝手にアスベストを取った」と責任逃れの
発言を繰り返した。10月末にやっと責任を認め、11月1日付けで職員7人を処分した。(減給と戒告)
しかし、事件の発端を作った職員は処分を受けず、人事異動で契約課検査係となり、さしがや保育園の改修工事が
契約通りに行なわれたかどうかをチェックする役目となった。
私は、「原因究明を徹底し、職員の処分は11月議会が済むまで待ってほしい」と要望したが、
区は11月議会直前に処分を発表した。
建設委員会で「この職員が処分されないのはおかしい」と指摘したが、区は「処分は済んだ」の一点張りだった。
(この問題についての毎日新聞の記事を掲載)
「 文京区立保育園 アスベスト除去工事
募る行政への不信感 繰り返された情報隠し 守られない約束 園児の目の前で
行政は、そもそも信じてはいけない相手だったーこれが、父母の心に刻まれた教訓である。
東京都文京区立さしがや保育園で発がん性のあるアスベスト除去工事が園児のすぐ近くで行なわれた問題では、
保護者が工事の2ヶ月以上も前から「アスベストは大丈夫か?」と問い合わせていたが、区は「触れないから
大丈夫」と言い張っていた。繰り返された情報隠しとウソを追う。
7月7日 子供を迎えに来た保護者が、工事中の園舎の天井裏がはがされアスベストが露出していることに気づく。
その3日後にアスベストが削り取られ、園児の部屋に白い煙が舞うのを複数の保護者が目撃した。
それまでの経緯はこうだ。
4月28日 「改修工事でアスベストは大丈夫か」という保護者の問いに、園長は区の説明を伝えた。
「園舎にアスベストはない」
2日後に区の説明が一変。 「アスベストが若干あるかもしれない。しかし天井は、はずさない。」
6月8日 父母会長が区に電話をして約束を受けた。「天井には触らない。粉じんも心配なので現場は密閉する。」
7月8日 工事現場で保護者が、区の職員に「なぜ天井をはがしたのか」と質問。
職員の答えは「あれは天井ではなく仕上げ板。触らないと言ったのはアスベストのことで、仕上げ板は
最初からはがす予定だった。仕上げ板にアスベストは含まれない。」 保護者は証明を求めた。
7月14日 初の説明会で、区は「仕上げ板はアスベストを含まない」と繰り返した。
7月26日 保護者が独自に調べ、仕上げ板にアスベストが含まれることを突き止めた。
7月28日 緊急父母会で約80名の保護者を前に、区職員が始めて頭を下げた。
この日に撮影された現場の写真を見ると、天井のアスベストが削り取られた様子がわかる。
保護者が区営繕課に何度も電話をしたが、同課は「アスベストには触っていない」と取り合わなかった。
8月16日 毎日新聞の取材に対し、同課が初めてアスベスト除去を認めた。
「7月20日、現場で除去の事実を確認した。」と課長。
8月20日 保護者説明会で助役も頭を下げた。 「隠すつもりはなかったが、失念していたのだろう。」
都市計画部長の説明に保護者は失笑した。 「事前指導したのに業者が無視した。アスベスト除去後、
区は工事中止を求めたが業者が続行した。」
業者は反論する。 「工事前にアスベストの存在すら知らされなかったし、工事中止の指導はなかった。」
9月16日 煙山区長は議会でこう答弁した。
「(区職員と業者の説明の違いは)私は区職員の方を信じたい。」
傍聴席の保護者から、ため息がもれた。
行政が区有施設のアスベストの有無を知らぬはずがない。知らなかったなら大変な職務怠慢。
営繕課のウソを見抜けなかったのは、都市計画部長・助役・区長らの問題で、区長も今回の責任を問われるべきだ。
住民も行政の説明をうのみにせず、議員に働きかけるなど、行政をチェックする必要が今後も必要だろう。 」
公務員の処分について
懲戒処分は、地方公務員法第29条に基づき履歴書の賞罰欄に記入しなくてはならない。
つまり、公務員にとっての懲戒処分は“履歴に傷がつく”重い処分なのである。
今回は、営繕課長と営繕課担当職員が減給1ヶ月、その他の関係部長・課長・係長の計5人が戒告の処分を受けた。
一般職員や係長が懲戒処分を受けるのは初めてのことである。
新しい教育委員が決まった
昨年6月に、猪口邦子氏が文京区の新しい教育委員となった。猪口氏は毎回、活発に発言され、
それにつられてか他の委員の発言回数も増え、最近の教育委員会は活性化してきた。
今では教育委員会の傍聴が楽しみ。毎月第2火曜日の午後2時から、シビックセンター20階の教育委員会室で
定例会が開かれる。教育問題に関心のある方は、ぜひ傍聴を。
傍聴者も委員会資料の閲覧が可能になった
昨年6月の議会から、委員会の傍聴者も資料が閲覧できるようになった。委員会の内容もずっと理解しやすくなったと思う。
閲覧を求めて請願・要望書を出して下さったみなさん、ありがとうございました。
教育委員会はまだ閲覧できないので、先日の決算委員会で要望を出した。早期に実現することを願う。
今期1回目の一般質問(99・9・16)より
<質問1>
さしがや保育園問題では、庁内の上下、及び横の連携の悪さに加え、前任者から後任者への連携の悪さが事態を
一層悪くした。区民の信頼回復に不可欠な組織の立て直しをどのように行なうのか。
<区長答弁>
各部局で危機管理の基本方針を検討させ、集約して組織体制の刷新を図りたい。
<解説>
さしがや保育園問題が起きたのは煙山区長になってからだが、区の隠ぺい・保身体質は相変わらずである。
四半世紀に及ぶ遠藤区政のよどみが、いまだに庁内にたまっているからか。
区は、2年前に職員から業務改善のための提案を募集し、「問題点や意見をつけた業務日誌をつけ、課や係内で
問題点を検討し合う。後任者への引き継ぎもこの日誌があればスムーズにできる」という提案が奨励賞を受けた。
しかし、区は賞は与えたが日誌の導入の実行はしなかった。残念でならない。
<質問2>
今回のさしがや保育園問題は職員による人災である。区の初動調査には疑問があるが、職員と業者の言い分の
食い違い等について再調査は行なうのか。
<区長答弁>
調査は終了した。言い分の相違点については職員を信じたい。
<解説>
アスベストの除去をどのように行なうかは区が事前に判断すべきことだったが、担当職員はアスベストの存在を
業者にも、同僚職員にも知らせなかった。
7月7日、業者は天井をはがしてアスベストの存在を知るが、区の担当職員が何も言わないので工事を続行。
7月14日、区の職員は、業者を呼んでアスベストに触れずに工事を行なう方法を相談した、と言うが→業者は
呼ばれていない、と言う。
7月15日、区の職員は、現場で業者がアスベストを除去しているのを目撃し注意した、と言うが→業者は
注意はなかった、と言う。
これらの食い違いがあるにもかかわらず、8月末に、区は「業者が勝手にアスベストを除去した」とする報告書を
まとめた。
10月末にやっと、事前調査を行なうべき責任が区にあったこと、アスベストに触れずに工事を行なうことは
不可能だったことを認めた。
<質問3>
学校給食のあり方について、教育委員会はほとんど協議を行なわず、各委員が学校給食についてどのような
考えを持っているのか区民にはわからない。教育委員が現場視察や意見聴取を行なわない理由は何か。
<区長答弁>
教育委員には、委員会の席上、現場の状況について説明している。
<解説>
区では昨年、学校給食の民間委託を検討してきた。
8月末の教育委員会で、「区民から、区民の意見を充分に反映させてほしい旨の要望書が届いている」と
ある委員が発言したのに対し、教育長は言下に、「教育委員が区民の意見を聞く必要はない」と答えた。
さらに教育委員長が、「教育委員が区民の意見を聞く会は設けない、ということでよろしいですね」との提案を
行なった。 “区民参画”を唱えながら、これでは言論封殺ではないか。
そこで、上記の質問を行なったのである。
中野区の教育委員会では、学校給食の民間委託に関して16ヶ月間検討を続け、視察や区民との懇談会・
公聴会など計19回の会を開いた。膨大な議事録には「区民の生の声を聞かなくては」という委員の発言がある。
さて、私がこの質問を行なった後、教育委員会は急きょ、現場視察と区民の意見を聞く会を行なった。
周知と開催方法に疑問は残ったが、教育長と委員長の閉鎖的な発言を思えば、開催したこと自体を評価したい。
<質問4>
建設業界には、何十年前の仕事であろうと最初に工事を請け負った業者が、その後の改築工事も請け負う、という
慣行があるようだが、これに対しなんらかの対策の検討を行なうつもりはあるか?
<区長答弁>
本区は適正な業者指名、並びに一般競争入札に努めている。よって、なんらかの手を打つことはあり得ない。
<解説>
真砂小と元町小が統合されてできた本郷小の改築工事(真砂小跡地)は、早くから請負業者としてA建設の名前が
巷に流れていた。((明治39年に真砂小の建築を請け負った。)
何度となく契約課長と話をしたが、「名前だけでは談合情報として不十分」ということで手を打たずにきた。
8月27日の入札の結果、落札したのはやはりA建設だった。
何十年も前の仕事をした業者が、あちこちでまた同じ仕事を取るのは単なる偶然か?
決算委員会(99.11.29〜12.8)より
区議会発行の「ぶんきょう区議会だより」に委員会報告が出ているが、私の意見はすべてカットされているので、ここに記す。
1.総額83億5800万円余りの補助金は原資が税金であることを忘れず、適正執行を心がけられたい。
ことに、収入の7割が区からの補助金と委託金である産業連合会においては、事業・支出内容の見直しを求めたい。
2.契約金額や年間委託料が1億円を超える事業においては、入札のあり方を検討されたい。
3.国際交流は区民のアイデアを集め、区民レベルの活動と交流の活性化を図られたい。
4.議会費の行政視察費・費用弁償等、さらなる見直しを求めたい。
5.(問題を起こした)社会福祉法人においては、改善の努力をされたい。
6.営繕課の職務怠慢に端を発した保育園アスベスト問題は、園児・保護者・職員に甚大な労苦を与えた。
今後2度とこのようなことが起こらぬよう、区民の区政への信頼回復に努められたい。
産業連合会への大盤振舞
文京区産業連合会は、中小商工業の振興を目的として事業を行なう団体である。
年間収入は約4700万円だが、その70%は区からの補助金・2300万円と事業委託金・1000万円でまかなう。
主要事業の1つが、毎年10月に熱海後楽園ホテルで1泊2日で行なわれる、区長や関係部課長との懇談会。
毎年、区長・部長・課長・係長が、交通費と宿泊費の公費負担で必ず参加している。
保育園アスベスト問題で、園児の保護者が区長に面会を申し込んだ時は区長の日程調整が大変だったそうだが、
遠藤・前区長も煙山・現区長も、忙しい中、この懇談会には出席する。
産業連合会は、新旧両区長の推薦団体に役員を出している。
産業連合会は区から委託を受けて事業を行なっているが、その支出内訳に驚いた。
*99年2月12日 中小企業経営フォーラム 計500万円
(講師6人の出演料370万円・会場費20万円・チラシ印刷費80万円・郵送料20万円・打ち合わせ費10万円)
*文京区産業ガイドブックの作成 計480万円
(1万部作成費360万円・打ち合わせ費、配送費等120万円)
これ以上の詳細は聞いても教えてもらえなかった。こういうのを、どんぶり勘定と言うのだろう。
チラシ代80万円はすごい。 フォーラムのテーマは「不況下の中小企業戦略」。
平日の午後に区民の税金を湯水のごとく使って行なう勉強会は、不況とはまったく無縁に思える。
国際交流の顧問料 年間200万円!
区はカイザースラウテルン市と交流を行なうにあたり、某大学教授に有料で顧問を依頼していることが
決算委員会でわかった。以前私が、教授に顧問料を出しているのか訊ねた時は、「区民としてボランティアで
ご協力いただいている」ということだったが。
年間契約料が100万円、教授にドイツに電話をかけてもらうと電話代以外に謝礼1回1万円、ドイツのゴミ問題に
関する講演(内容は平凡だった)は1回10万円、カイザースラウテルン市に関する概要書の1部書き直しに
100万円・・というように、毎年200万円前後がこの教授に支払われてきた。
特定の人に顧問料を支払って国際交流を行なっている自治体を、私は知らない。
なお、この教授は煙山区長と親しいそうである。
遠藤・前区長 名誉区民となる
昨年9月の議会で、賛成23・反対14で前区長を名誉区民とすることが決まった。
いまだに尾を引いている、前区長の後援会幹部による社会福祉法人における公金搾取の問題で前区長の責任は
逃れず、名誉区民などもってのほかと私は思うが、議会の過半数が賛成では仕方がない。
3月17日の公会堂落成式では、“名誉区民”遠藤氏も壇上でテープカットを行なう。
(昨年)11月17日の公会堂委員会で、私は遠藤氏のテープカットに反対したが、委員から
「遠藤・前区長を名誉区民とすることに反対する区民はいない」と言われた。
前区長が名誉区民だなんて、と思う方は、私にではなく、どうか直接区に電話をして意見を述べてほしい。
区がまとめた遠藤氏の実績は次の通り。
「・・・文京区政一筋にかかわり、文京区及び区民への愛情を持って、数多くの課題の解決に全力を傾け、今日の
文京区を作り上げた。・・・区長として区民から絶大なる信託を受け、心のふれあいを大切にする『心の区政』を
標ほうし・・・・・。」
23区議員野球大会について
「当面、23区全体としての野球大会は見合わせる。裁判の行方を見極めた上で再検討する。」と、議長会で取り決めた
そうである。文京区も、今期から議員野球大会は行なわなくなった。
公費を使わず、職員を駆り出さないのなら行なってもいいと思うが、実際にはそれは無理とのこと。
私は、前期4年間、議員野球大会には参加しなかった。煙山議員(現区長)から「23区の議長会で決めたことだから、
参加しないのはダメだ。」と言われたことを思い出す。
議員待遇者記章条例が廃止
議員待遇者(議員OB)のバッジを18金と定めた条例(便り14号参照)が、昨年11月、議会で廃止となった。
1個4万円もしていたバッジは、希望者が自分で買うことになった。議員OBの抵抗にあって廃止は難しいと思ったが、
反対運動をして下さったみなさん、ありがとうございました。
区長交際費と議長交際費の使途が全面開示に
今までほとんど黒塗りだった現金出納簿が、昨年5月より全面開示となった。6年前、私が初めて区長交際費の
情報公開を求めた時には、黒塗りの出納簿すら出てこなかった。なぜなら、区は出納簿を作っていなかったから。
当時と比べると隔世の感がある。あとは、区民のみなさんが支出内容の適否を判断するだけである。
(2つの出納簿の12月分を掲載。 黒塗りと全面開示では、支出の額がおよそ半分も違う。)
全面開示は、支出削減の特効薬のようである。
傍聴においで下さい
2月23日(水)夕方、今期2回目の一般質問を行なう。
私たち議員にとって1番の励みとなるのは、みなさんが傍聴に来て下さることである。
時間の都合のつく方は、ぜひお出かけ下さい。
雑感・雑報
* 私のホームページができた。区議会便りの他に、雑誌等に発表した原稿や、裁判の陳述書が載っている。
のぞいてみて。
* 裁判支援のカンパは、8名の方から計46000円、他に切手・テレホンカード等をいただいた。
ありがとうございました。
* 政治資金団体「長月(ながつき)会」を作った。(私は9月生まれなので長月)裁判や調査はすべて私費で
行なってきたが出費がかさむ。カンパをお寄せいただければ幸いである。
* 都議会の情報が今年1月より開示となったので、7日に何件かの情報公開請求を行なってきた。
なんと、私が請求者第1号だった。
私が都議会を追及するのは、まず都議会を変えなければ「都議会でもやっているのだから・・」と、
いつまでも他の議会も変えることができないからである。
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