「 若林ひとみの文京区議会便り  No.14 1999年春号 」


     − 今期最後の便りです。4年間ご愛読ありがとうございました。 −

         1999年3月30日発行  全6ページから抜粋・要約


            
               最後の一般質問(99・2・22)より

質問1
 97年度の入札案件中、2回以上入札を行ないながら最低価格で応札した業者が同じもの(1位が不動)の
 件数・割合はいくらか。 また、93〜98年度の6年間に、契約金額が1千万円以上の業務委託契約で
 5年以上落札業者が同じものが27件あったが、これをどうみるか?
区長答弁
 97年度の112件の入札案件中、1位不動の件数は103件(92%)である。
 これらの数字は入札の結果と認識している。
解説
 業者は仕事を取りたくて入札に参加するわけだから、1回目の入札で落札業者が決まらなかった場合は、
 2回目は自社が取れるよう努力をするはず。毎回同じ業者が最低価格を入れた入札が100件以上あって、
 「単なる入札の結果」?
 また、区民センター・教育センター等、区の主要施設27件の清掃等施設管理業務で、落札業者が5年以上
 同じであるのは常識的に考えてありえないと思う。
 「不明朗な入札を調査もせずに放置するのは、行政が談合に加担したのと同じ」と、ある市長が言っていたが
 まったく同感である。


質問2
 (シビックセンターT期分の工事費の)契約書の内訳を見ると、仕様を変更してグレードを下げているのに
 総工費が膨張した理由は何か? 単価・数量は適正だったのか。
区長答弁
 総工費の増加は別途工事によるものであり、単価や数量も適正であったと考える。
解説
 専門家の力を借りながらシビックセンター内部と周辺のチェックを行なった結果、契約書の内容よりも仕様を
 下げている・あるはずのものがない・数量が足りない・等の事柄が見つかった。
 一方で、全和室には最高級の秋田杉が使われていた。
 区は「使い勝手をよくするためのグレードアップもある」と言うが、それが具体的にどこなのか不明である。
 結果としてシビックセンターT期工事は、本体工事費だけで298億円の予定が583億円にも膨らんだ。
 情報公開請求で入手した文書は単価が白塗りで、区長が「単価は適正」と言っても判断のしようがない。
 白塗り部分については、開示を求める訴訟を5月以降に起こす予定である。


<質問3
 昨年の教育委員会定例会を1/3欠席した委員がいるが、これで職責を果たせるのか。
 また、5期目の委員が2人いるが、委員の多選禁止、及び区民推薦制の導入を検討してはどうか。
区長答弁
 当該委員は委員としての職責を果たしていると考える。委員の再任は法的に回数の制限はない。
 現行の選出方法で区民の意志を十分に反映していると思う。
解説
 いくら肩書きが立派でも、欠席が多く、また出席してもほとんど発言をしない委員に年300万円も払って
 教育委員をしてもらう必要はない。この委員は5期目(1期4年)である。
 複数の委員が20年も教育委員をやっている例は他の自治体ではあまりない。
 最近の様々な教育問題に対応するためには、新鮮な感覚で文京区の教育行政に情熱をもって
 取り組んでくれる区民に教育委員になってほしいと思う。
 そのためには、中野区のような委員の推薦制を導入すべき。中野区の教育委員会を見ていると、
 現行制度でもここまで活発にやれるのか、と感心させられる。


質問4
 区長が25年間の在職中に行なった施策のうち、区民に最も誇れるものは何か。
 また、社会福祉法人の問題で区の名誉と評判を落とした責任をどう認識しているか。
区長答弁
 区民に最も誇れる施策はシビックセンターの建設である。
 自分の責任については近々明らかにする。
解説
 シビックセンターT期工事費は約600億円、土地取得代は約200億円、これにU期工事(公会堂分)の
 200億円が加わる。
 先日出席した本郷台中学校の卒業式で、卒業生が別れのことばの中で「雨漏りのする学校」と言っていた。
 文京区にはシビックセンターの陰に、雨漏りのする学校や、雨が降ると本が濡れる図書館がある。


                     
                        区長の責任

 社会福祉法人での不正経理や体罰事件は新聞の全国版でも報じられ、補助金を出していた国や都に
 対しても文京区は信用を失った。
 事件の中心人物は問題発覚まで自分が区長と親しいことを前面に出し、長年に渡り、入所者への体罰・
 約2000万円の公金の不正使用・約2000万円の措置費(補助金)の水増し請求を行なってきた。
 問題発覚後は、不正経理は部下に責任をかぶせ、区の事情聴取にも応じず所在不明、ついに職務停止処分を
 受けた。 2年前、区長は区政50周年特別功労者20名を表彰したが、この人物もその中の1人である。
 さて、この問題に対して区長が取った責任だが、4月分の報酬の20%(23万円)カットのみ。
 昨年来、調査に追われてきた職員の労力を考えてもあまりにむなしい額。私はてっきり、今期分の退職金
 (2300万円)を辞退するものと思っていた。


                   
                  公会堂委員会(99・2・23)より

 建設中の公会堂は来年3月にオープンする区は昨年10月、公会堂でやってほしい催し物について
 区民へアンケートを行なった。その結果は、1位 洋画・2位 管弦楽・3位 ミュージカル・4位 歌舞伎・・・。
 (自由記入欄に建設に批判的意見を書いた人が6.6%)
 「フルオーケストラを呼べないと恥ずかしい」「オペラもやれなくてはいけない」と各党の大多数の賛成で
 建設が決まった1802席の公会堂だが、希望の催し物の第1位が洋画とは・・。


                  
 
                   M議員の長期無断欠席続く

 M議員は昨年から病気とのことで会期中もほとんど出席しないが、診断書は提出されていない。
 たまに出てきた時の姿は元気そうである。 2月17日から始まった今期最後の定例会も欠席、自らが委員長を
 務める公会堂委員会も無断欠席、事務局が自宅や家族に電話をしても連絡が取れないそうである。
 委員長はヒラ議員よりも年収で83万円報酬が高いが、その報酬は毎月家族が受け取りに来ているそうである。
   


                    
文教委員会(99・3・1)より
 

 
昨年7月、区は「文京区教育ビジョン推進プラン委員会」を設置した。
 私が突っ込んで質問しているうちに、「この委員会は区民が傍聴することができる」ことが偶然わかり驚いた。
 文京区の教育を今後どうするかを決める重要な委員会だが、半年以上も区民に傍聴できることを知らせずに
 いたのは、傍聴に来てほしくないという教育委員会の本音だろうか。
 さて、3月18日、この委員会が区民から意見を聞く公聴会を開いた。応募者から選ばれた意見発表者6名は皆、
 教育問題に強い関心と深い洞察力があり、堂々とご自分の意見を述べていた。
 私は、この方達に区民代表として委員会に加わってほしいし、この6人の中から新しい教育委員を選んでほしいと
 思った。


                  
 議員待遇者バッジ代に住民監査請求
 
 23区で、1ヶ4万円もの高価なバッジを税金で購入して元議員にプレゼントするのは文京区だけであること、
 他の区は7千円程度のものを待遇者会で作る(税金から支出しない)、またはバッジそのものがないことがわかった。
 監査結果はまだだが、引退する保守系議員にも「待遇者バッジは不要」と言う人が出てきた。
 来月の改選時に約10人が引退するが、そのうち何人がこのバッジをもらうか注目。


    
      
文京区の99年予算案での区庁舎(シビックセンター)維持管理費の約8500万円の削減や、
           議員待遇者会(元議員)への補助金問題などに関する各新聞の記事を掲載。

             
  98・11・10 & 98・12・22 & 99・3・4 毎日新聞   
                    99・2・10 & 99・3・4 朝日新聞          」


             
         
                     この4年間にやってきたこと
 
          
             1人会派の新人議員ゆえ非力ではあったが、以下が成果である。

 
 シビックセンター等の維持管理費の見直しを求め、水道光熱費も含めて約1億円の削減を実現。
 
★ 中野区の教育委員会をたびたび傍聴し、文京区教育委員会の活性化を求める。
 
 学校適正配置問題に関し、教育委員が出席しての区民の意見を聞く会を実現。
 
 姉妹都市カイザースラウテルン市への訪問団を、議員や特定区民中心から一般区民中心に変えた。
 
★ ミス文京コンテスト廃止要求で約260万円の削減。
 
 議員の海外視察廃止要求で約1000万円の削減。
 
 政務調査費や議長交際費の明朗会計を要求、議長交際費や議員待遇者会費は10%ながら削減。
 
 全国組織「開かれた議会をめざす会」を作り、様々な議会改革に取り組み、勉強会を開催。
 
 公会堂建設の見直しを求め、56億円の削減。
 
 補助金団体からの名刺寄贈の返上や東京ドームでの競輪復活反対など。


                
          
                           ドイツ報告
  
 昨年10月、ドイツのシュテファンスキルフェン町(町長が町民に対して行なう「年間実績報告会」の傍聴と
 町長へのインタビュー)、ランダウ市(本会議の傍聴と副市長の承認式へ出席)、カイザースラウテルン市
 (予算・環境・リサイクルの各委員会を傍聴)の行政・議会のあり方を視察してきた。
 議会傍聴で気づいた日本との大きな違いは、
  
@ 議員間の意見交換・質疑応答が活発である。
  
A 議会に出席する職員は数名だが(日本では数十名の職員が出席)、これは、ドイツの議会は議員が
    議論をする場であり、職員は補助的な説明要員だからである。
  
B 傍聴者の発言の時間がある。(日本ではできない。)
  
C 議会は午後、もしくは夕方から数時間の開会で、時間の無駄がなく議事が進行する。
     (日本では、職員が毎回長々と資料の説明や報告を行なう。)

 今回1番印象的だったのはシュテファンスキルフェン町の町長。バイタリティー・リーダーシップ・政治的経験・
 能力・社交性・周囲への気配り、首長とはこういう人のことを言う、と感じた。
 残念ながら紙面が足りないので、またの機会に詳細をご報告したい。



                       
 区長交際費の住民監査請求

 
昨年11月に区民が行なった住民監査請求は12月に却下されたが、その後さらに調査を続け、次のようなことが
 わかった。
 区長自身が「○○議員との懇談に5万円を使った」と支払証明書を書けば、それで通る。区長が自分宛てに出した
 証明書1枚で、3〜5万円のお金がいとも簡単に支出されている。支出の相手は議会関係者(非公開)だという。
 区長がデパートのカードで購入した洋酒6本は、議会との意思疎通を図る必要のため議会関係者に贈ったそうだが
 (受け取った議員が誰なのかは不明)、監査委員の判断では問題なし。 
 監査委員には、毎月29万円の報酬が税金から支払われている。



                           
                          雑報・雑感
 

 費用弁償(議員報酬以外に出る年間20万円の日当、区に返還できない)は、20%の所得税を納めた上で、
   区外の団体(家永教科書・従軍慰安婦・中国人強制連行の各問題を支援する団体、住民投票・情報公開を
   求める運動を行なう団体・途上国の子供達に奨学金を送る運動を行なう団体)に寄付した。

★ 文京区議会では、政務調査費(議員1人当たり月12万円)の使途基準を明確化する作業を進めている。
   以前、私が領収書の添付を提案したところ、他の議員から「1人会派の1人使用・1人会計は問題だ」
   言われたので、4年間、私は政務調査費を受け取らなかった。
   収支報告書に領収書添付は当たり前という世間の常識が議会の常識になるのは、いつだろう?

 この4年間、個人後援会も個人事務所も作らずに活動してきた。日本の政治制度を政党中心の活動にするためには、
  まず議員の個人後援会作りからやめていかなくてはならない、また、日本の政治にお金がかかる第1の理由は、
  議員の個人事務所にあると思うからである。私の理想は比例代表制である。
  4年間に発行した区議会便りを通し、多くの方々と知り合うことができた。
  年賀状・はがき・手紙を下さったみなさん、どうもありがとうございました。
  お礼状を差し上げる時間的余裕がないことをお許しいただきたい。
  落ち込むことも、くじけそうになることもあったが、ここまでくることができたのは、みなさんのご支援のお陰である。
            ありがとうございました。