「 若林ひとみの文京区議会便り  No.13  1998年秋・冬号 」

 − 4ヶ月ぶりです。秋号を出している時間がなかったので、今回は合併号となりました。 −

      1998年12月25日発行  全6ページから抜粋・要約
  ( 区議会便りに続いて、議員時代のホームページからの文章を掲載 )


            
                7回目の一般質問(98・9・18)より


質問1> 
 清掃や害虫駆除等、シビックセンターの維持管理委託業務費は都庁や世間相場と比較し、
 異様に高い。入札予定価格の根拠は何か。発注後の管理も見直しが必要ではないか。
区長答弁
 予定価格は市場単価を基に設定し、必要な仕様も網羅している。
解説
 シビックセンター清掃等の業務委託に関する疑問については、前号でご報告した。
 入札での業者の落札価格が高いのは、区が設定する入札予定価格が高いからである。
 入札予定価格が高く、その後の管理が甘いと談合が起きると言われる。
 

質問2
 シビックセンター等の維持管理業務委託の入札では、@落札業者が毎年同じ A業者間のすみ分けが
 みられる B応札業者すべてが高値の入札をしている、など談合の疑いがある。
 委託契約でも契約金額が億単位のものは、入札予定価格の事後公表を検討すべきではないか。
区長答弁
 公共工事の結論を出して、のちの検討課題としたい。
解説
 いくつもの業種で毎年落札業者が同じということは、偶然には起こり得ない。
 文京区では5年間、落札業者が同じである業務委託の入札がたくさんある。
 入札制度の改善は決算委員会でも重ねて要望したが、職員も議員も消極的である。
 なぜ? 入札制度の改善(談合防止)は歳出削減に効果があると思うのだが。

             
             98・10・22付けの毎日新聞の記事を掲載  (抜粋で紹介)

  「 こんなに必要? 文京区庁舎管理経費   不況なのに無駄多い
                              
    実際に現場を歩くと、厳しい不況にそぐわないリッチなメンテナンスが目に付き『お役所感覚』の
   ずれを改めて感じる。 この問題を追及している若林ひとみ区議が比べたところ、害虫駆除の費用は
   都庁の単価の4〜6倍にもなる。シビックセンター担当課長によると、『毎日2人が午前9時から
   午後5時まで巡回点検する』よう求めているという。食堂は別にしても、ピカピカのフロアを、
   害虫を探して巡回するのは異様とは言えまいか。
    今年度から業者が変わった警備業務以外は、94年度のシビックセンターのオープン以来、
   すべて同一業務を同一業者が落札している。しかも、同一業者が都庁の類似業務よりも割高な
   金額で入札しているケースも目立つ。
    若林区議の試算によると、同じような業務で都庁並みの予算の削減をした場合、計9764万円が
   削減になるという。 担当課長は、『どれほど削減できるかはわからないが、業務内容の仕様書を
   全面的に見直す』と 話している。              


質問3
             98・9・19付けの朝日新聞の記事を掲載  (抜粋で紹介)
 

   文京区長の交際費公開  3分の2は領収書なし
                       情報求めた区議に『会計処理は適切』と回答 

    
97年度の文京区長の交際費(500万円)について情報公開を求めていた同区選出の
   若林ひとみ区議は、18日の定例区議会の一般質問でその結果を明らかにした。
   領収書があるのは3割だが、そのうち宛て名が書かれていないものが15件、『○○代として』の
   ただし書きがないものが37件、うち4件は宛て名もただし書きもない。そうした領収書の合計は
   62万円余りに上る。個々の内訳をみると、大手デパートで区長名義のカードを使って買った
   日本酒やワイン、商品券もある。 同区総務課は朝日新聞の取材に対し、
   「個々の内容についてはコメントを差し控える」としている。
    本当はだれが使ったのか、何に使ったのかわからないような領収書は、公費のらん用を招く
   危険性がある。
    今回の指摘について遠藤区長は「今後とも適正な会計処理に努力する」とだけ答えた。   
 


 決算委員会の準備に区長交際費を調べていたら、あまりにひどい内容だったので一般質問で取り上げた。
 宮城県では知事の交際費を全面開示したところ、金額が1/3に減ったそうである。
 文京区の区長と議長の交際費も全面開示すべきだと思う。


質問4
 中教審が学級編成・教員配置の弾力化を打ち出した今、国が定めた1クラス40人を基準としてまとめられた
 最終答申は見直しが必要ではないか。
教育長答弁
 最終答申を最大限尊重し、国や都の動向を見守りたい。
解説
 中教審が学級編成を各自治体の裁量に委ねるとしたので、“文京区では1クラス何人くらいが子どもに
 とって最良の規模か”を真剣に考えるべきと思うが、教育委員会の姿勢には主体性がない。
 委員会に出席しても一言も発言しなかったり、年12回の定例会を4回も欠席する委員(本業が忙しくて
 出席できないなら辞任すべきと思う)では、どうしようもない。
 なお、欠席しても年300万円の報酬は全額支払われる。

 
               教育委員会の区民意見を聞く会が開催される

 10月6日、教育委員が全員出席して学校統合についての区民意見を聞く会が開催された。
 (こんなに早く実現するとは正直なところ思わなかった。要望してよかった!)
 その結果、第2次の学校統合は当面行なわれないことになった。
 みなさんも教育委員への要望があれば、どんどん出してほしい。教育委員は本来、区民意見を
 教育行政に反映させるためにいる方たちなのだから。


                 
    遠藤区長 引退を表明    

 
12月9日、遠藤区長は引退を表明した。当然である。
 本会議や委員会での居眠りは日常茶飯事、予算委員会は幼稚園の卒園式出席のため中座。
 そして、区長の後援会幹部のBさんによる、区内の複数の福祉施設での体罰や乱脈経理の表面化。
 (Bさんは83年以来、連続して区政モニターを務め、会議で区政に批判的な意見が出ると区長擁護の
 長い演説をすることで有名。他にもいくつもの審議会委員等を務め、私も一般質問で取り上げたことがある。)
 先の決算委員会でこの福祉施設問題が審議される時間帯、区長は芸能大会開会式での挨拶のため中座の
 予定だった。 問題意識が欠如するこんな区長に高額な報酬と退職金を払うのは、やりきれない。

           
  98・12・10付けの毎日新聞の記事を掲載   (抜粋で紹介)
 
 
 「    文京区長引退表明   前触れなく説明なく   幹部に護衛され退場

   
 区長は突然引退を表明した。社会福祉法人『文京Eの会』の体罰や措置費(運営費補助)の
   水増し請求で揺れる文京区。 9日の定例区議会本会議では、『区長自身も重大な責任問題だ』など、
   全会派から厳しい意見が出された。 本会議に先立って開かれた厚生委員会の理事会では、
   閉会中もこの問題を追及するため、継続審議を決めていた。
    議場を出た区長は幹部職員に守られ、記者が近づくたびに助役に取材をさえぎられる。
   区長は、『まあ』『いろいろ』などの言葉だけを発して姿を消した。    
   

                   国際交流協会について

 この協会は、民間による国際交流(特に姉妹都市カイザースラウテルン市との交流)活動を目的に84年に設立
 された。 毎年500万円の補助金が交付されているが、実際に仕事をしているのは区の総務課である。
 区長が名誉会長を務め、(区長後援会幹部のBさんを含め)役員はなんと50人、会員約700人のうち6分の1が
 区の職員と議員で、懇親会も行なわれる。
 97年度決算では繰越金が100万円と積立金が300万円。繰越金は毎年90万円前後、積立金は97年度末で
 2700万円あるが、今のところ具体的な事業予定はない。
 私は、補助金額の見直しと積立金の使い方の検討(無目的にため込むのではなく、たとえば、複数の区民を
 カイザースラウテルン市に1年間派遣する等の事業計画)や、担当が総務課でいいのか等の検討を求めた。
 

                      文京手帳について

 区では毎年、文京手帳を3200冊作っている。区政に関する100ページの資料が後ろに載っていて、
 単価は735円。 議員に5冊ずつ無料で配布され、さらに5冊まで1冊200円で購入できる。
 23区で手帳を作っているのは文京区だけ。私は、資料部分のみの独立制作や議員への無料配布の見直し等を
 提案したが、どうなることか・・。

 
                     年賀会について

 1961年から毎年、区は区長と議長が主催者となり、500万円の予算で年賀会を開く。
 参加者はあちこちの会合でよく見かける町会関係者がほとんどだが、この不況下、何百万円もかけて区が
 新年会をやらなくてもよいのでは、と発言したが、これもどうなることか・・。


                    議員待遇者会 ーその2−

 決算委員会で、1個4万円・18金製の議員待遇者(議員OB)バッジの見直しを要望したが、「区の条例で
 決まっている」との返答。 確かに、76年制定の条例で待遇者バッジは18金と定めてあるが、現職議員バッジは
 10金で、それも単なる規定で定めているだけ。条例は議会の議決がなければ変えられない。
 議員引退者のバッジまで条例で定めているところは、日本全国探してもそう多くはないだろう。
 (バッジを作っているところが珍しい)
 議員待遇者会は、今秋、1泊2日で柏原原発の視察に行った。東京電力の職員2名が同行し、区議会事務局長と
 2名の区職員が公務として同行した。なぜ、任意団体の視察に職員が同行しなくてはいけないのか?
 年に135万円の補助金も、4万円のバッジも、職員の同行も、そろそろやめにしてもいいのでは?


                        雑報・雑感
 
  シビックセンターの維持管理経費は、来年度予算でだいぶ見直されるようだ。どのくらい下がるか楽しみ。

  区長交際費の中におもしろい請求書を見つけた。(コピーを掲載) 「人生読本・後藤田 正晴」
   定価3万円を1割引で2万7千円、普通の装丁なら1500円位の本。
   貸し出しはせず、秘書室の職員しか手にすることができないという。
   後藤田さん、あちこちの首長に買ってもらっているんですか?パーティー券と同じじゃないですか。

  1800席の公会堂建設に賛成しておきながら、「文京区のハコモノ行政は問題だ」と区長選に出馬するのは
   節操がなさすぎる。区長選では、候補者が議員時代に何をしてきたかに充分注意を払ってほしい。
 
  10月末、ドイツのいくつかの町の議会運営状況を視察してきた。報告は次号で。

           みなさん、どうぞよい年をお迎え下さい。


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            若林ひとみの「議員だって本を読む」 第4回 (2000年12月)


 もうすぐクリスマス。議員になるまでは、毎年11月末から1月初めはヨーロッパ各地をクリスマスの取材や
 クリスマスグッズの買い付けに旅していた。
 私の趣味がクリスマスの研究であることはプロフィールにも書いたが、ただ私はキリスト教徒ではない。
 26年前、留学先のドイツで体験したクリスマスがそれまで私が見知っていたクリスマスとあまりに違う事に驚き、
 いろいろ調べ始めたところ、主なクリスマスの習慣(ツリーを家の中に飾り、そのツリーにろうそくを灯す、
 クリスマス・イブに子供たちにプレゼントを贈る、等々)がドイツで始まり、ルターの宗教改革やハプスブルク家の
 勢力拡大と密接に結びついてヨーロッパ各地に伝播していったということがわかり、面白くなって研究を止められず、
 今日まできてしまったわけである。

 6年前、こういった話をまとめて『クリスマスの文化史』として某社から刊行の予定だったが、突然議員になって
 しまって執筆は中断したまま。最近は編集者から催促の電話もないから企画は流れてしまったのかもしれない・・・。

 今でも期間はぐっと短くなったものの、12月下旬は必ずドイツに出かけて、81歳になる"ドイツの母"(26年前の
 留学時からお世話になっている恩人)の元でクリスマスを祝っている。
 いつの日か『クリスマスの文化史』を上梓することを夢見ながら。
 
 さて、本題に入って、今回は政治からはちょっと離れるが、"クリスマスとは何か"を理解するのに役に立つ本を
 3冊ご紹介しよう。
 クリスマスは日本では"恋人たちの日"としてのイメージがすっかり定着してしまったようだが、本来は全世界で
 15億人以上の信徒を抱えるキリスト教において、イエス・キリストの生誕を祝う宗教行事である。
 かつては1月6日(もしくは7日)に行われていた祭事を12月25日に移したのは、ドイツの宗教改革者、
 マルチン・ルターだともいわれている。 この26年間、"クリスマス"をキーワードに聖書やキリスト教、
 ヨーロッパ史を調べるうちに、西欧の精神文化の神髄が少し理解できたような気がしている。

 『早わかり聖書』(日本実業出版社)の著者、生田哲氏も、聖書の知識なくして欧米人の考え方を理解することは
 できないと思い、この聖書の手引き書を著したとのこと。データブックのような作りで、気楽に聖書の内容を知る
 ことができる。前から聖書が気になっていたが、活字ばかりの本は手に取る気がしなくて……という人におすすめ。

 あわせて、『図説イエス・キリスト』(河谷龍彦著/河出書房新社)をご覧になると、聖書の世界がさらによく理解
 できることと思う。 ただ、この本では図版や写真の出典・所蔵先が明記されていないものもあり、参考文献の
 記載もなく(p.26の写真など明らかに他の本から転載したものであろう)、出版社の姿勢として、このようなことで
 いいのかと疑問が残る。

 『ターシャ・テューダーのクリスマス』(ハリー・デイヴィス著/文芸春秋社)には、古き良き時代のアメリカの
 クリスマスが描かれているが、ルーツはいずれもドイツやイタリア、スウェーデン等。移民の国アメリカでは、
 ヨーロッパ各国のクリスマスの習慣が融合し、"アメリカの伝統"となったことが、この本を見るとよくわかる。
 ちなみに、この本に出てくる、"内側が彩やかな色の水銀で塗られ、どっしりとした、140年前のガラス玉"は、
 クーゲルという名が示すとおり、ドイツ製。当時はドイツの貴重な輸出産品の1つで、
 今はクリスマスグッズコレクターの必須アイテム。 (私も5,6個、持ってます!)

                        では、みなさん、Merry Christmas !


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