「 若林ひとみの文京区議会便り  No.12  1998年夏号 」

 涼しい夏のせいか、忙しいせいか、夏が来た、という実感のないまま夏が終わろうとしています。 −

        1998年8月21日発行  全4ページから抜粋・要約
  (区議会便りに続いて、議員時代のホームページからの文章を掲載


              
               文教委員会(98・6・10)より

 教育委員のみなさん、1度でいいので、区民の意見に直接耳を傾けて下さい。

区教育委は、第2次適正配置(注:学校の統合)に向けた考えを9月をめどにまとめるが、
その前に区内で50回の説明会を開くという。しかし、教育委員は1度も出席しない。
私は、「1度でいいので教育委員も出席する会を設けてほしい」と要望した。
これに対し課長は、「区民の意見を聞く会なので職員で対応する。」
部長は、「我々は教育委員の意をテイして(おかしな日本語だが発言のまま)区民の意見を
聞く会をやり、報告も詳細に行なう。」
区民の意見を聞く会だからこそ、教育委員にも1度直接、区民の声に耳を傾けてほしいと思う。
私自身、この2年間、学校統合についての説明会をずっと傍聴し、委員会での職員による報告だけでは
区民が何を考え、何を望んでいるのか充分にはわかりえないことを実感しているからである。

5月29日、中野区の教育委員会を傍聴してきた。
約70名の参加者の意見に、中野区の教育委員は予定時間をオーバーして聞き入っていた。
開催方法には工夫の余地があるとしても、年に2回、教育委員と直接接する機会を持つ中野区民は
幸せだと思った。
7月14日の文京区の教育委員会では「必要性があれば区民の意見を聞くことも考える」と。
ぜひ、前向きのご検討を。


 教育委員会の議事録が行政情報コーナーに常設されるようになりました。

文京区の教育委員会の議事録は、これまでは議員でも情報公開請求をしないと閲覧できなかった。
「中野区では行政情報コーナーに議事録が置いてある。文京区でもできるのでは?」と
委員会に検討を求めたところ、庶務課長から「今年の4月分から、 行政情報コーナーに
置くことになった。」と報告があった。
このように、すぐに改善策を講じてくれる職員がいると提言のしがいがある。
最近の教育委員会では、各委員の発言も以前よりは増えてきた。
少しずつでも変化が目に見えて現われるのは、うれしい。


              
             旧元町小学校のピアノのその後

前号でお伝えした旧元町小のピアノ4台は、次のように行き先が決まった。
2台は今春音大に進学した区民へ、1台は区内の児童館へ、最後の1台は中国へ。
「便り」前号を読んだ2人の方から、「楽器類を欲しがっているアジアの国々はたくさんある。
今後はぜひ連絡を。」とお葉書をいただいた。
中国行きが決まったピアノは、旧元町小校友会有志の方々が中心となり、アモイ市の小学校に
贈る準備を進めて下さっているが、輸送費等に20万円が必要である。
カンパをお寄せいただける方はご連絡を。



              公会堂委員会(98・6・5)より

 シビックセンターの業務委託費のムダは「たいしたことない」のでしょうか?

シビックセンターの清掃等の委託費を都庁と比較し、文京区がかなり割高であることがわかった。
しかも、清掃業界は昨今競争が激しく一般的に請負価格が下がってきており、都庁でも対前年度比で
平均27%落札価格が下がっているが、文京区は毎年上昇している。
 (シビックセンターと都庁の、96〜98年度分の落札業者名と業務委託費の一覧表を掲載)

文京区が発注している植木のレンタル料金を都庁の単価で計算すると、約700万円で済む。
(実際の価格は1227万円) 差額の500万円は、わずかばかりの植え込みの手入れ料金か?
私がこの件で質問をしていると、K議員から「たいしたことない」とヤジが飛んだ。
シビックセンター業務委託費の総額は7億5千万円、談合が行なわれているとしか思えない落札が何年も
続き、区はかなりのムダな出費をしてきた恐れもあるのに、「たいしたことない」のだろうか?

都庁は全体を7分割してそれぞれ違う業者に清掃業務を委託しているため、1社当たりの
請負面積は小さい。
シビックセンターの清掃業務を落札している「文京建物管理事業協同組合」は、複数の業者が集まって
作った組合である。適正価格で仕事の質が保証されるのであれば、区内の業者に優先的に発注して
ほしいと私は思う。しかし、この組合にはいくつか疑問がある。
組合の構成会社6社のうち2社は区外に本社があり、単独で大企業の仕事を取る実力がある。
そんな大手が文京区に営業所を作って組合を構成。しかも、この大手の社長は別の構成会社の
取締役であり、もう1つの構成会社は大手の得意先、というつながりがある。

 
 CC(シビックセンター)探検隊、ブラインド清掃をチェックする

8月1日、区民2人のCC探検隊と私は、ブラインド清掃の様子をチェックした。
作業員3人に現場監督1名・総監督1名の計5名が、9フロア分のブラインドを1日かけて清掃。
実際に作業を行なうのは3名で、監督2名は床に座ってボーッとしていたり、窓から外を眺めたり・・。
私たちに気づいたのか、現場監督が突然化学雑巾を手にちょこちょことブラインドの掃除を
始めたが、3人ですら多いと思える作業、急にもう1人が加わってもやることがない。
8:45に開始した作業は、昼休みと午後の休憩をはさんで15:40に終了した。
2年前に文京区でブラインド清掃のバイトをしたことがある学生が、「あんな楽な仕事はしたことがない。
仕事をしているふりをしていればよかった。」と語ったが、日給は8000円だったそうである。

  「CC探検隊募集」 おかしな点が他にもいろいろあるシビックセンター。
             一緒にチェックをしていただける方は、都合のつく時間をご連絡下さい。

 
 シビックセンターの清掃等業務委託談合疑惑の報告会を開きます

年間契約金額が2億数千万円の清掃から、植木のレンタル、害虫駆除等、世間相場よりも
かなり高額の委託料を、文京区民は毎年業者に払っている。
半年の調査でわかった問題点をご報告する。出席ご予定の方はお知らせを。
9月18日の本会議と、9月21日の公会堂特別委員会でもこの問題を取り上げる。


               みなさん、ご存知ですか?

近頃マスコミで話題の議員野球大会。23区の大会には、文京区ももちろん参加。
親睦のために、やりたい人たちが他区の議員と野球大会を開くのはかまわないと思うが、
問題は、それに公費が使われ、職員が公務として手伝いにかり出されていること。
文京区では、「人手がない」との理由で予算委員会と決算委員会の議事録を作っていないが、
議員野球大会の手伝いの人手はあるようだ。  大事なのは、どちら?


                   雑報・雑感

5月12〜14日、文教委員会で函館市と札幌市に視察に出かけた。
テーマは、スクールカウンセラー制度・小学校の英語教育・中央図書館等。
いずれも、北海道に行かなければならないものではなかったが、「視察は2泊3日」の大原則が
あるため遠くへ行かざるをえないのである。
私は委員会で、「必要性を優先して視察先を決めるべきで、23区内や近隣県に日帰りでの視察も
検討してほしい。」と要望している。

さて、今回私が1番楽しみにしていたのは、札幌市内の小学校の英語教育の視察であった。
文部省は、各都道府県に1校の指定校を定め、実験的に小学校での英語教育を始めた。
東京都の指定校は、文京区の誠之小学校。私は事前に誠之小の英語の授業を見学させてもらい、
札幌の小学校と教え方の違い等を比較できると期待していたのだが・・・。
出発直前に、北海道の指定校は札幌市ではなく旭川市にあることがわかった。
“先に視察の行き先ありき”を地で行く視察だった。

            
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   若林ひとみの、世にも不思議な議員の世界−B   (ハートネット 98年9月1日)


                      談合疑惑をチェック!

 公共事業の入札があると、必ずささやかれるのが談合疑惑。あなたの町でも、貴重な税金が
 議員の利権保持に使いまわしされているかもしれません。
 今、私が数ヶ月かかりっきりで調べているのがシビックセンター(文京区庁舎)業務委託費の談合疑惑。
 事の発端は文京区の清掃アルバイトをしたことがあるという大学生に会ったことでした。
 『あちこちで清掃のバイトをしたが、あそこほど楽なところはなかった。』と言うのです。
 たっぷりの煙草タイムに昼休み、雇い主に『仕事をしているふりをしてればいい』とまで言われたとか。
 やはりシビックセンターの清掃をしている人たちも“のんびりペース”。人手が多いし、おしゃべりに興じたり、
 四角いところを丸く掃いたり、到底プロとは思えない仕事ぶり。
 そして、話を聞いていくうちに妙な事実が明らかになってきました。
 区が直接、清掃契約を結んでいる会社をA社とすると、大学生に仕事が回ってくるまでにあと2つの会社が
 介在していたのです。大学生は清掃の仕事を求人情報誌で見つけました。
 つまり仕事は、区→A社→B社→C社→求人情報誌→大学生という経路で発注されていました。
 A社の人たちが『これで一生食っていける。金になる仕事だ。』と言った、という話も聞きました。
 
 私は早速、区の清掃費の調査を始めました。
 比較対象にシビックセンターと同じ条件(最近完成した豪華庁舎)の都庁を選んだのですが、
 信じられないような事実が浮き彫りになりました。
 害虫駆除の費用(これ1つ入手するのにも大変な苦労)が、都庁では1u当たり46〜65円の単価に対し、
 文京区は274円! ちなみに民間相場は約60円。4倍強ものこの差は、どうして生じたのでしょうか?
 
 都庁では、96年に経費の大幅な見直しを実行。97年は前年比31%減、98年も27%の削減を達成。
 ところが文京区は、よくて同額、平均2%程度の増額。2年前と比べると5%近く上がっていることが
 わかりました。
 シビックセンターの業務委託費は年額約7億5千万円。都庁と同じように見直しをはかれば、
 全体で約2億円もの税金を節約できることになります。(その分をボロボロの図書館や、みすぼらしい
 児童館の改装費にあてられれば!)

 また、都庁と文京区の両方に入札して仕事を取っている業者が2社ありました。
 同じ会社が、なぜ文京区には高値で入札したのか?しかも毎年入札が行なわれているにもかかわらず、
 どうして同じ顔ぶれの業者がそろうのか。 談合が行なわれているとしか思えません。
 万が一、談合はなかったとしても、多額の無駄遣いを行なってきた文京区は反省すべきでしょう。
 この矛盾を議会で問うと、他の議員から『あんただけの委員会じゃない』『その問題に関わるのは注意しろ』
 などと言われました。
 北海道や神奈川の座間市などで次々と談合の存在が明らかになりましたが、解明しようとした議員が
 脅迫されたりしましたよね。
 おそらく日本全国、どこでも談合はあります。
 そしてこれは、業者から政治家への政治献金につながっています。
 さらにその裏には、お金のかかる選挙体質があります。選挙資金の大半が『飲ませ食わせ』『事務所開設』
 『秘書やウグイス嬢などの人件費』です。
 だからこそ、公然の秘密として斡旋利得が議員の特権になってしまっているのです。
 この悪循環を断ち切るためにも、今の政治のあり方や制度を考え直すべきです。

 46円と274円、この数字のおかしさを、みなさんも考えてみて下さい。  」

              
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