” HITOMI コレクション ” Part 14
”アニュアル”と呼ばれる出版物は、欧米で年に1回、クリスマスから新年の時期に発行された
月刊誌のクリスマス特別号や単行本で、多くはクリスマスプレゼント用に購入されました。
上から3段目のアメリカのアニュアルのサンタクロースがパイプをくわえて(あるいはパイプを
手にして)いますが、これはオランダからの移民が愛用した陶製のパイプです。
サンタクロースの原型である聖ニコラウスは、元々はオランダ・アムステルダムの守護聖人でもあり、
また、船乗りの守護聖人でもありました。船でアメリカへ移住したメイフラワー号にはオランダ人も
多く乗船していて、聖ニコラウスは”へさき”からメイフラワー号の船旅を守りました。
アメリカ大陸への上陸後は、聖ニコラウスがそのままニューヨークの守護聖人となったのです。
オランダ語の発音で「シント・ニコラス」がシンタクラース、やがて、サンタクロースへ。
サンタクロースの故郷は、現代の商業ベースやイメージから生まれた”北極”や”北欧”では
ありません。 3世紀後半のトルコの司祭であった聖ニコラウス信奉に、ヨーロッパ各地の伝統や文化・
信仰から生まれた姿が長い歴史の中で変化をとげ、移民と共にアメリカへ渡り、今度はアメリカの
商業広告の中でさらに姿を変えていくのです。
サンタクロースの深い部分の故郷は、信仰心、つまり人間の心なのかもしれません。
今回ご紹介するアニュアルのうち何点かは、「名作に描かれたクリスマス」(岩波書店)の
カラー口絵写真に掲載されています。
1900年頃のドイツのグロリア集・24×31.5p![]() |
1800年代・ミュンヘンで発行のウィンナ歌曲集![]() |
子供のための歌の楽譜・クリスマスの歌が多い![]() |
第1次世界大戦時・3点の楽譜の大きさは同じ![]() |
1896年 アメリカ サンタのお話を数話→![]() |
登場するサンタクロースは小柄です![]() |
1918年 ドイツのアニュアル →![]() |
プレゼントをかつぐ聖ニコラウス・賛美歌も掲載![]() |
1910年 お話が中心のアニュアル →![]() |
茶色いコートの”クリスマスおじさん”![]() |
1901年 ミュンヘン州教員協会推薦 →![]() |
1872年創刊 生誕シーンと賛美歌が続きます![]() |
1933年 (1882〜1950年発刊) →![]() |
森の中の鹿と”クリスマスおじさん”![]() |
1861年・1800年代前半のクリスマスの絵の全集![]() |
”Part5”で紹介した箱がもう1つ 1900年頃![]() |
左の箱は貴婦人、右は動物のデザイン![]() |
チョコレートの包みを模した飾り 箱は20×12p![]() |
子供の頃、日本のお菓子メーカーの「パラソルチョコレート」を食べましたが、
上の写真のドイツのチョコの飾りをご覧になった方は、「パラソルチョコを思い出す」とおっしゃいます。