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     APRILE 2002 (16〜17ページ)

 当初、イタリアからベートーベンへの執筆依頼は、日本のセント・バーナード全般に関する
 内容でした。私達は犬のプロではありませんので、専門的な記事部分は、
 英語力をお持ちのセント・バーナードのブリーダー(繁殖者)に書いていただきました。

世界のセント・バーナード

韓国と日本、
数ヶ月間は、世界中のテレビにせよ新聞にせよ、他のことは話題に上らないでしょう。
この、世界中の話題となるサッカーワールドカップは、開催国のアジアのふたつの国に、
数10億もの人々の関心を惹きつけます。この格別の人気を呼ぶ時期を捉えて、
我々もまた、レンズを遠いかの国に向けてみたいと思います。
もちろん、サッカーのためにではなく、我々が議論の対象としているもの、
つまり、セント・バーナードについてです。


セント・バーナード メイド イン ジャパン

「初期のイギリスからの輸入から、現在のアメリカ系の成功」

トザキ ヨウジ氏 執筆 ・ グイド・ザネッラ イタリア語訳 (高梨光正 再訳)

日本におけるセント・バーナード種の起源は、実のところ明白ではない。
わたしが 知 る限りでは、
時期、名前、正確な場所すら情報がない。
ただ知られているのは、最初 のセント・バーナードは、
1908年頃に、
おそらく堺市で外国貿易をしていた人物によって我が国にもたらされたと思われる。
この犬は、自分の子供へのおみやげ として、イギリスで購入されたものであった。
その後、数年後には、日本国内におけるセント・バーナードに関する
あらゆる足跡が失われることになる。
それは、もちろん大きな戦争によるためで、日本国内の生活と経済に
劇的に、しかも壊滅的な打撃を与えることになった。
第2次世界大戦後の1950年代半ばになって、ようやく経済は復興に向かい、
それにともなって愛玩動物の市場も発展し始めた。
この時期には、ブリーダー(
 繁殖者)の他に、愛玩犬の販売業者や輸入業者も登場した。
外国からは数多くの犬種が日本にもたらされるようになり、
その中に、セント・バーナード種の様々な台牝(
 繁殖のための牝犬)も含まれていた。
これらのセント・バーナードの多くはイギリス産で、おそらく、イギリスの血統が確立し た

体格の大きさがその選択の理由ではなかったか、と考えられる。

続く60年代になると、日本におけるセント・バーナードの歴史に転機が訪れる。
6 0年代初期にはイギリス系は大いなる栄光を極め、国内の愛犬家すべてに承認を得るに至る。
しかも愛犬家の多くが、セント・バーナードは実際イギリス原産であると確信するようになった。
ところが、60年代後半になると、アメリカ系の新たな血統が日本にもたらされるようになる。
ドッグショーでの上位の賞、BIS(
 ベスト・イン・ショー)のひとつが、
まさに、シュヴァルツ・ヴァルド・ホッフ犬舎に由来するアメリカ系の直系犬に、
この時期与えられたのである。

こうして、格調あるイギリス血統のセント・バーナード支持派と、
新参の興味深いアメリカ系支持派とに分かれるようになった。
アメリカからの輸入は増大し、優れたアメリカ産の犬は、
有名なアメリカ系のブリーダーに買い取られた。
セント・バーナードの飼育頭数の増加は70年代に入っても一向にとどまることを知らなかった。
あらゆる犬種を対象としたドッグショー( 全犬種展)にもセント・バーナードが押し寄せるようになり、
そのうちの多くが「ベスト・イン・ショー」のジャンルで賞を 獲得した。
70年代には、セント・バーナード・ショー( 単独展)でも、国内の年次大会
 「JKC本部展」と思われる。現在の名称は「FCI・アジア・インターナショナル・ドッグショー)
においても、悠に100頭を超える出陳数を数えるようになった。

1980年以降になると、イギリス系の血統は、次第に新しい勝者、
セント・バーナー ド・メイド・イン・USAに取って代わられるようになった。
ドッグショーでの上位入賞も、すべてアメリカ血統の犬で占められるようになった。
こうした犬の1頭は、1981年に、「アメリカ・セント・バーナード・クラブ」が主催する
「ナショナル・スペシャリティー・ショー」
栄誉ある年大会で賞を獲ったことで、
逆にアメリカでの台牝犬として役立つためにアメリカへの帰国を果たした。
まさにこの80年代は、ジャパン・ケンネル・クラブでのセント・バーナードの登録数が
最高を記録した時代なのである。
年間登録頭数がなんと3000頭にもなったのである!
そしてこの10年間のうちに、イギリス系の血統は決定的に国内飼育からは姿を消してしまった。
こうしてアメリカ系は、アメリカへの逆輸出されるほどしっかりと根を下ろし、
今やアメリカ国内で日本生まれのセント・バーナードを見ることは珍しくな い。
 しかも彼らは、ドッグ・ショーでチャンピオンのタイトルを獲得したり、上位入賞を果たしている。

           下の画像は、本文の内容とは関係がありません。

真ん中の写真、首に樽をつけてベンチに
座っているのは徳島在住の
日本のセント・バーナード、ジャック君です


   上から2番目の写真のイタリアの2頭は
    ジャック君と同じ樽を首につけています